【ジャパンC】3強に割って入るならプリンスリーギフトかロベルトの血
大物食いならロベルト系
さて、気になるジャイアントキリングを起こす血統についてだが、今回着目したのは父系の血だ。注目はロベルト系で、ここはしっかりとおさえておきたいところ。 ロベルト系が勝利した際の単勝平均は1783円。最も勝利数が多いサンデーサイレンス系の527円と比較すると、人気薄で勝っていることがよく分かる。スクリーンヒーローが単勝平均を引き上げているのは間違いないが、ウオッカやエピファネイアも勝利している点が心強い。特にエピファネイアは、かの三冠牝馬ジェンティルドンナを撃破しているのだから価値の高い白星だった。 そのロベルト系の血が流れているのは、上述のエピファネイアの産駒であるデアリングタクト。「三冠牝馬が斤量的に有利な状況で出走するのだから、勝ってもジャイアントキリングとまでは……」という声が聞こえてきそうだが、そもそも歴史的名馬2頭をねじ伏せないと勝利できないので、「大物食い」とカウントしても良いはずだ。 他に注目はといえば、ミスタープロスペクター系だろうか。 2000年以降だとアドマイヤムーンとアルカセットが勝利しているが、アドマイヤムーンの勝利した2007年はウオッカ、メイショウサムソン、インティライミの3頭が単勝1桁台という「三強体制」の年だった。 キングカメハメハ系を除いたミスプロ系だと、キングズベスト産駒のトーラスジェミニが該当する。勝利まで求めるのは流石に酷かもしれないが、それは今年の上位人気3頭と対峙するどの馬にとっても同じ話。上位3頭以外の中なら、この馬にも同程度にチャンスはあるだろう。ペースと他馬の牽制次第で驚くような走りを披露する可能性はある。 また、近年最も人気薄で馬券圏内に食い込んだのはトーセンジョーダンだが、その血統(ジャングルポケット×エヴリウィスパー)を父の母×母の父で血統表上に再現しているミッキースワローも非常に面白い存在。東京が得意なジャングルポケットの血が騒ぎそうだ。 今年の牡馬クラシック銀メダリスト・サリオスがマイルCSで5着に敗れるなど、今ひとつ「流れ」が来ていない今年の3歳世代。まだレベルについて問われる時期ではないと思うものの、そろそろ大舞台で世代の意地を古馬に見せつけたいところだろう。 その前に立ちはだかるのが女王・アーモンドアイ。アーモンドアイが花道を飾るのか、無敗の三冠馬たちが世代交代を告げるのか、伏兵が意地を見せるのか。競馬ファンだけではない、多くの「スポーツファン」にご注目いただきたい一戦だ。 《ライタープロフィール》 緒方きしん 競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。レオダーバンの菊花賞をみて競馬の魅力に取り憑かれ、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
緒方きしん