【独自解説】ソ連崩壊からプーチン大統領が“ヒーロー”になるまで…モスクワで28年間生活した日本人アナリストが体感した、ロシアのリアル
ロシアによるウクライナ侵攻が長引く中、ロシア国内では今、ある異変が起きていると言います。3月13日には、街中で何も書かれていない“白い紙”を掲げていた男性を「違反行為をした」として警察が連行したのです。ロシアの人権団体によると、侵攻開始から3月31日までの間で1万5000人以上が当局に拘束されていると言います。
そんなロシアの“メディア規制の闇”を、ソ連崩壊直前の1990年から28年間モスクワで生活し、ロシアやプーチン大統領に関する著書などを多数執筆されている国際関係アナリスト・北野幸伯(きたの・よしのり)さんが解説します。
ソ連崩壊からプーチン政権の誕生 北野さんが見たロシアの“変遷”
北野さんは、1990年にモスクワに留学。その翌年にソ連崩壊を現地で目撃しました。「モスクワ国際関係大学」卒業後、2003年にプーチン大統領の元側近とコンサルタント会社を立ち上げ、2005年から執筆活動を本格的に開始します。2015年からはメルマガで“自身が見たロシアの実情”を配信。「クリミア併合」の情報発信をしたことで移民局から圧力をかけられたこともあり、2018年に28年間住んだモスクワを離れ、ロシア人の妻と2人の子どもと一緒に帰国したということです。 Q.モスクワに留学しようと思われたのはどういうところからなのですか? (国際関係アナリスト 北野幸伯さん) 「今はモスクワというとかなり怖い感じで、私が留学した1990年も怖かったのですが、その時はゴルバチョフが大統領だったので、怖いながらもかなり自由になってきていたんです。私はゴルバチョフがすごく好きだったので、ゴルバチョフだったらこの世界を良い方向に変えてくれるんじゃないかという思いがありました。実際に1989年にベルリンの壁が崩壊して、『何か世界が変わっていくぞ、その中心がゴルバチョフ、モスクワだ』という確信があって、『行ってみて実際に何が起こっているのか見てみたい』という気持ちで留学を決意しました」 Q.1990年代はロシアとアメリカが非常に接近していて、ロシアも市場経済を入れていくというような動きもありましたよね。 (北野さん) 「そうですね。ゴルバチョフが出てきて、“怖いソ連”というイメージがどんどん薄れていた時期です」
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