<純烈物語>応援してくれてきた人たちとともに死なない選択をする。リーダー酒井が表した「みんなを守る」覚悟<第83回>
―[ノンフィクション連載「白と黒とハッピー ~純烈物語」]― <第83回>やってもやらなくても生じるリスク。酒井が口にした「みんなを守る」覚悟
ステージ上で「凄十」を飲み干し熱唱
有観客再開ライブは、2月3日にリリースされる新曲『君がそばにいるから』のお披露目の場でもあった。まずは中盤、カップリング曲である『僕に残された時間はどのぐらいあるだろう』を、酒井一圭がソロで歌った。 この曲は酒井自身が作詞。「コロナの中で奥さんや子どもを見ていて何ができるか、純烈としてどれだけステージができるかを3月、4月と考えていて、そういうところから詞が出てきた」のだという。 直前にステージ上で強壮剤の「凄十」を飲んでの出陣。これは、同商品のCMに出演する「百獣戦隊ガオレンジャー」時代の盟友・金子昇から送られてきたものだった。 白川裕二郎が新聞広告で金子の姿を発見し「凄十って効くのかな」と興味を抱き、それを酒井がツイートすると後日、事務所へ届いた。その効果は絶大で、衣装のズボンがずり落ちてきそうになりながらも朗々と歌いあげることができた。 「笑いが止まらんかったわ。イントロが聴こえてきてこの人、この唄を歌う前に凄十を飲んでおったんやなと思うと」 本人はいい調子で歌えたとしたり顏なのに、すかさず小田井涼平がツッコミを入れる。確かに、凄十を飲んだ数分後にステージ上でパフォーマンスしたのはたぶん酒井が史上初。 「70歳になった俺の唄。俺は奥さんの方が先に死ぬ説を持っているんだけど、ひとり薪をくべながら淹れたてのコーヒーを飲んで昔のことを思い出し、さみしいな……ありがとうをちゃんと言う前に逝ってもうたって、なっているんよ。ほんで2番からは俺に痴呆が入る。うろ覚えで頭がさびてくる。でも、そこまで生きられたらええねんっていう気持ちをね」 CDを購入された方は、このような裏設定を頭に入れて聴くとまた違った味わいがあるはず。そして『君がそばにいるから』はコンサートのフィナーレにラインナップされていた。