冷酷なのに思いやりを持ったサイコパス「闇の共感者」とは?
冷酷で攻撃性が高く、他人に対して支配的……。サイコパスには人間らしい「共感力」がないイメージがあります。しかし英国の研究では、高い共感力がありながら他人を傷つけてしまう性格も存在すると示唆されました。 【画像】ダークエンパスの特徴5つ 彼らの持つ“闇の特性”とは──クーリエ・ジャポンでも反響の大きかった記事を要約してお届けします。 「ダークエンパス(闇の共感者)」と呼ばれる人たちは、通常の人よりも相手の感情を理解することに優れています。しかし、彼らはその高い共感力を利用して、言葉で相手を傷つけたり、罪悪感を覚えさせたりする傾向にあることがわかったのです。 「ダークトライアド」という言葉をご存知でしょうか。サイコパス、マキャベリズム、ナルシシズムという3つの特性の総称です。 これらの闇の性格の持ち主は、過剰な優越感や反社会的な思想を抱え、モラルから逸脱した行為に至る傾向があります。特にサイコパスは、共感力の欠如ゆえに重大な社会問題を引き起こすリスクがあると考えられてきました。 しかし、英国の心理学者たちが約1000人を対象に調査したところ、「共感力と闇の特性」の両方を持つ人たちがいることもわかってきました。それがダークエンパスです。彼らの特徴は次の通りです。 1 全体の20%を占める割合で存在 2 サイコパスや一般的な性格特性の人たちよりも共感力が高い 3 社交的な性格の持ち主 4 サイコパスよりも攻撃性が低いが、言動などで間接的に相手を傷つける傾向 5 否定的な思考がやや強く、自身への評価が厳しい 研究チームは今回の調査を経て、人との交流を育むために必要な共感力を、他人をコントロールするために利用する層がいることもわかってきたと述べています。 同時に、ダークエンパスは自身の攻撃的な性格を自覚しているともいわれます。それゆえに自己嫌悪に陥り、敵意や怒りとなって現れる可能性も指摘されています。 ちなみに研究者たちは、決してダークエンパスを「犯罪者予備軍」と捉えているわけではなく、彼らの攻撃性についても「制御できるはず」とも考えています。ダークエンパスという性格特性をくわしく調べることで、人間の共感に関する新たな発見が得られるかもしれません。 今回のメディア:カンバセーション 2011年にオーストラリアで創刊された非営利の独立系メディア。SNSなどで情報が氾濫する昨今において「公共の利益のために専門家の知識を届ける」というミッションを掲げ、情報発信を続ける。政治や科学、経済、歴史と取り扱う分野も幅広い。クーリエ・ジャポンではカンバセーションの人気シリーズ「こどもの疑問にマジ回答」を連載。
COURRiER Japon