早稲田大ハラスメント訴訟で双方尋問、女性准教授が学生との"性行為"否定「依存されていた」 原告「権力差で断れず」
●女性側「性交渉の事実や強要は一切ない」「男性が依存した」
一方、女性は、男性が主張する性交渉の事実や強要について「そのようなことは一切ありません」と否定した。台湾などの海外出張に連れて行ったのは、研究者志望の男性のためだったという。 「原告は勉強を頑張っていて、研究者になりたいと考えていて、彼のキャリアに有利になるようにできるだけのことをしようとした」 男性は「自分は旅行だった」と否定しているが、女性は男性もポスター発表で学会に参加していたと説明した。 さらに、女性にとって、男性は「大事な友人」だったとして、2017年1月の旅行で一緒に宿泊した際も「女子学生や子どもと泊まる感覚だった」と述べた。また、子どものお迎えなどを頼んでも、男性に嫌がる様子はなかったという。 「当時は迎えにお願いして、3人で仲良く過ごして、嫌がってる様子はありませんでした。原告は私の大事な友人と認識していて、友人にどうしても困ったときにお願いする感じです」 ただ、自宅に男子学生を招く行為は「その際は息子もいたが、当時は公私混同と言われてもしょうがない。誤解を生む行動で不適切だと思う」などと振り返った。
●女性側「むしろ男性が依存するようになった」
この日の尋問では、准教授という立場は、学生に対して優越的地位にあったのではないかという指摘もされたが、女性は「形式的にはそう評価されても仕方ないが、当時はフラットで、私がえらくて権威を振りかざすということはない」と説明。男性に不利になるような働きかけをしたことはないと反論した。 男性側は「被告から2人の関係は特別と信じ込まされていた」としたが、この点についても、双方の主張はぶつかっている。女性は、むしろ男性が女性に依存するようになったとしている。 「私が他の学生と研究すると、それを詰問したり、他の学生を目の前で褒めると態度が豹変する。穏やかな人だが落差がある」 2018年夏から秋ごろには「私への依存度には薄々気づいて距離をおこうとした」という。 急ではなく、徐々に距離をおこうとしたのは「彼を傷つけるのが怖くてはっきり言えなかった」ことや「友人としてフェードアウトするのがよいと思った」ことにあるという。 2019年5月、距離を置くことを告げた際の描写も、男性の主張とは異なっている。 「原告は久しぶりに私と会えるので本当にうきうきしてニコニコ顔で来て、距離を置いたほうがいいと言ったら、顔が真っ青になって、意気消沈して、ショック状態で帰ったと記憶している」 性交渉があったと主張している男性は、女性とのメッセージのやりとりなどを裁判で証拠提出したうえで「性的な内容のやりとりだ」と主張した。一方、女性はそのように読み取ることはできないと反論した。