オメガ スピードマスター65周年記念モデルに感じる「キャリバー321」の価値と革新性
初代譲りのデザインにしっくり馴染むキャリバー321
キャリバー321は、1957年発表の初代スピードマスター「CK2915-1」にも搭載されていた手巻き式クロノグラフムーブメント。アポロ時代に成功した、6回の有人月面着陸で着用されていたスピードマスターのムーブメントとしても有名だ。この歴史的なムーブメントの生産が再開されたのは2019年。 【画像】初代スピードマスターにインスパイアされたディテールの数々(9枚) 「オメガの”スピマス“といえば、時計界のマスターピース。中でも手巻きクロノグラフの”ムーンウォッチ“は大傑作です。折に触れ、アニバーサリーモデルが登場してきましたが、2019年は、オメガが月に降り立ったアポロ11号の月着陸から50周年というビッグアニバーサリー! 何をやってくるかと期待していましたが、そこに登場したのが、月着陸ウォッチに搭載されていたキャリバー321の復刻だったと」と、当時を振り返るのは時計ジャーナリストの篠田哲生さん。
つづけて「手巻きのクロノグラフムーブメントは、時計業界の絶滅危惧種。ムーンウォッチにはCal.1861といういい手巻きムーブメントを搭載していましたが、やはりアニバーサリーということで、オリジンを復活させたわけですね。これはオメガの心意気でしょうね。耐磁性と高精度を兼ね備えた最新手巻きクロノグラフとしてCal.3861もつくる一方で、オールドスタイルのキャリバー321を復古させる。多くのファンがいて、たくさんの伝説があるブランドだからこそ、ファンの期待に応えたい。そんな気持ちが見えます」と、キャリバー321が再び作られるようになったことの意義について語った。 復活したキャリバー321が搭載されたスピードマスターは当モデルで3作目。まず前の2作と大きく異なるのがその見た目で、初代スピードマスター「CK2915-1」からインスピレーションを受けたヴィンテージ感のあるデザインに。印象的な“ブロードアロー”型の針や、インダイヤルと外周に段差を付けた“ステップダイアル”以外にも、細部にまでこだわりが散りばめられている。 ブラックオニキス製のダイアルにはヴィンテージのオメガロゴや、楕円形のローマ字の“O”を採用。グラン・フーエナメルで描かれたベゼルのタキメータースケールに注目すると、コレクター好みの“ドット・オーバー90(90の数字の上に打たれたドット)”と“ドット・ダイアゴナル・トゥ70(70の数字の斜め下に打たれたドット)”の姿も。 さらに、リューズには防水性を示すナイアードのマークがあしらわれているなど、初代スピードマスターを彷彿とさせるディテールがしっかりと継承されている。