85歳の美容研究家 小林照子さん 子育てのイライラから気分を切り替えるには、「未来」に思いを馳せること
メイクアップアーティスト、美容研究家、そして女性起業家の先駆者である小林照子さん。化粧品の開発やショップチャンネルの出演だけでなく、無償で未来の女性リーダーの発掘・育成に精力的に取り組んでいます。85歳を迎えた今も、働く女性として、母として、後に続く私たちの行く道を照らし続けています。 後編では、前編「85歳でなおトップメイクアップアーティストの小林照子さん『部屋なんかちらかってたっていいのよ』」に引き続き、自分の母親、そして自分の子どもとの距離のとり方について、小林さんの経験を基にした心強いアドバイスをお届けします。 【画像】85歳でなおトップメイクアップアーティスト
いくつになっても子どもはいつも元気で明るいお母さんが基準
――― 最近、自分の母親との関係に悩む女性が増えていると聞きます。 (小林さん 以下敬称略):それはよくわかります。明るく元気で一生懸命人に尽くしてきたお母さんが、更年期になって人格が変わってしまったという話がありますよね。お母さんは更年期で身体がしんどく心が落ちているからだけなんですけど、娘にしてみれば、急に機嫌が悪くなったり、人の悪口ばっかり言うようになったり、「どうして?」とがっかりしちゃうんです。それによって、娘は母親に対する尊敬の念が薄れてしまい、喧嘩になりがちなんです。 ――― 若いうちは更年期の症状なんて想像できませんものね。 小林:そうね。いつかは自分も通る道なんですけどね。更年期のときだけでなく、親がだんだんと老化していって、それまでやれていたことがやれなくなったときも同じです。男女問わず、いくつになっても、子どもにとっては、いつも元気で明るいお母さんが基準ですからね。自分が一番好きだったお母さんと、今、ここにいるお母さんのギャップに、子どもの方がついていけず、いさかいへと発展していくんです。 ――― 親だからという甘えもあるのかもしれません。 小林:他人だったら我慢できるのに、肉親だから我慢できないだけなのね。でも他人と喧嘩したら修復が難しいけれど、親子の場合は「ごめんなさい」のひと言があれば、一瞬で関係を修復できるんです。お母さんのほうは、「自分の子どもなのになんでこんなふうにぎくしゃくしちゃったんだろう」って残念に思っているわけ。だから、「ごめんね」「こんな気持ちで過ごすのはお互いにつらいから仲良くしようね」と、自分の気持ちを伝えるだけですぐ和解できると思うのよ。