なぜ4回転も3回転半もない坂本花織が浅田真央氏以来12年ぶりの表彰台となる銅メダルを獲得することができたのか…3つの要因
北京五輪のフィギュア女子シングルのFSが17日、北京の首都体育館で行われ、坂本花織(21、シスメックス)がノーミスの演技で自己ベストを叩きだして銅メダルを獲得した。日本の女子フィギュアとしては2010年のバンクーバー五輪で銀メダルを獲得した浅田真央氏以来、12年ぶりの表彰台となる快挙だ。SP首位発進したドーピング違反問題で揺れるカミラ・ワリエワ(15)が2度、転倒するなどミスを連発させて大きく崩れ、会場を魅了するプログラムを滑り切った坂本が上回った。金メダルは4回転を2本成功させたアンナ・シェルバコワ(17)、銀メダルは5本の4回転を着氷させたアレクサンドラ・トゥルソワ(17、いずれもROC)。樋口新葉(21、明大)はSPに続き3回転アクセルを成功させて5位に入賞した。
「ビックリしすぎて3位を認識できず」
何が起きるかわからない。それが4年に1度の五輪の怖さであり、魅力でもあるが、その“まさか”が最後の最後に起きた。 精密マシンのような正確無比な演技から「絶望」とのニックネームをもらっていたSP首位のワリエワが転倒を繰り返したのだ。泣き崩れるワリエワの姿を3位以上の選手が待機する控え室で見ていた坂本はきっと複雑な心境だったに違いない。 150.98点以上であれば、ワリエワに逆転を許し、もし、それ以下ならば坂本が12年ぶりのメダルを日本女子フィギュア界にもたらすことになる。 掲示された得点は、そのラインを大きく下回る141.93だった。合計224.09。. 「いやあビックリしすぎて、最初、点数を見て、3位って認識できなくて、あとあと気づいたらなんかビックリしかない。嬉しい以外に言葉は出ないです」 坂本はビックリを2度繰り返して最高の笑顔を見せた。 幸運を引き寄せたのは、坂本が平昌五輪以降、続けてきた努力である。師匠の中野園子コーチは「しっかりと神様が見てくれていたわね」と声をかけて、2人は涙の抱擁を交わした。 SP3位の坂本の目の前でトゥルソワが5本の4回転ジャンプをすべて着氷させるという衝撃のプログラムを滑りきり、ワリエワの持つFSの世界最高得点に次ぐ歴代2位となる177.13の高得点をマークした。