「東海道線の終点」神戸駅、地味でも大きな存在感 長ーい連節バスも乗り入れ、将来は駅前再整備で大変貌の予感
日本の東西を代表する港町、神奈川県横浜市と兵庫県神戸市には何かと共通点が多い。両市とも県庁所在地で行政・経済の拠点でありながら、中華街や高台の洋館などの異国情緒あふれるスポット、再開発されたウォーターフロントなどが観光客の人気を集めている。 【写真を見る】観光客にはあまり知られていない?神戸駅。最近、南口に新神戸・三宮と結ぶ長ーい連節バスが乗り入れ開始。現状は課題が多いが、再整備で三宮に負けない駅前になるか? 新幹線の駅は新横浜と新神戸。どちらも街の中心からは少し離れていて、それぞれ市営地下鉄が市内各地と結んでいる。県名と同じ名称の兵庫駅(山陽本線)と神奈川駅(京急本線)があるが、あまり目立たない。大倉山駅は東急東横線と神戸市営地下鉄山手線に存在する。
では両市の中心駅はというと、横浜はJR東日本、京浜急行電鉄、東急電鉄、横浜高速鉄道、相模鉄道、横浜市営地下鉄と日本最多の6事業者が乗り入れる横浜駅。神戸はJR西日本、阪神電気鉄道、阪急電鉄、神戸市営地下鉄、神戸新交通のターミナルである三宮駅が挙げられる。JR西日本は「三ノ宮」、阪神と阪急は「神戸三宮」などと路線によって表記が異なる。 ■神戸駅の意外な存在感 神戸市の玄関口は三宮(三ノ宮)であることは、駅前の百貨店や商店街のにぎわいをみても間違いなさそうだ。が、JRで2駅西隣の神戸駅もなかなかの存在感を放っている。横浜でいえば桜木町駅のような位置づけだろうか。
【写真を見る】市の名前を冠する割には観光客にあまり知られていない? 神戸駅。南口には新神戸・三宮と結ぶ長ーい連節バスが乗り入れ開始。どんなところ? JR三ノ宮駅の1日平均乗車人員(2023年度)が11万5935人で県内首位なのに対し、JR神戸駅は5万1549人で2位につける。東海道本線の終点、山陽本線の起点という重要な肩書を背負い、同駅から東海道本線は東京駅まで589.5km、山陽本線は門司駅まで534.4km続いている。ただ、大幹線の起終点ではあるものの運行上は中間駅で、同駅始発着の列車はわずかだ。
神戸駅は1874年5月11日、大阪と結ぶ鉄道が開通した際に誕生した。1872年の新橋―横浜(現・桜木町)間に次いで日本で2番目の路線で、2024年に開業150年を迎えた。1930年に建てられた現在の駅舎は昭和初期のレトロな外観。正面に掲げられた大きな時計が目を引く。かつて貴賓室だったスペースはスターバックスコーヒーの店舗の一部になっている。 神戸駅周辺では線路が南北に走っているため、駅の東と西に出入り口があるが、西の山側を北口、東の海側を南口と呼ぶ。北口には南北朝時代、湊川の戦いで足利尊氏の軍に敗れて自刃した楠木正成をまつる湊川神社。駅開業より2年早い1872年に創建された。神社の前を横切る多聞通は正成の幼名、多聞丸にちなむ。神社の北側は神戸文化ホールや神戸大学付属病院、大倉山公園など市民のための施設が点在する。