WILYWNKAが語る、「逆にフレッシュ」なアルバムに込めた真摯な想い
TAKA PERRYとDJ UPPERCUTの存在
ー今、名前が挙がったTAKA PERRYとDJ UPPERCUTの2人は今作の半分以上のトラックを手掛けているので、今作のキーマンと呼んでもいいですよね。 WILYWNKA:TAKA PERRYさんは日系オーストラリア人で、何でも楽器弾ける感じの人。自分でギターを弾いてからドラムをパッドで打ち込んでトラック作る、みたいな。「Gorgeous」や「Excuse Me」あたりが分かりやすいんですけど、今作のキャッチーでポップなサウンドを作ったのはTAKAさんです。UPPERCUTさんは、ポップな部分だけではなく、そこに「深み」を与えてくれました。UPPERCUTさんは、彼がプロデュースしてる$MOKE OGっていうイカした東京のラッパーの曲を聴いたりしてて。映像監督のSPIKEY JOHNと同じ事務所に所属してるから、その流れで紹介してもらいました。前作収録曲の「That’s Me」や「Listen feat. KID PENSEUR & STICKY BUDZ」も彼のプロデュースですね。TAKAさんが「横軸」を伸ばしてくれたとするなら、UPPEERCUTさんが「縦軸」を伸ばしてくれた。この人たちとは一緒にスタジオに入ってああだこうだ言い合いながら作れたというのもあるし。本当、今作はこの2人がいなかったら成し得なかったし、キーマンです。 ーDJ UPPERCUTは森山直太朗の「さくら(独唱)」をサンプリングした「SAKURA」も手掛けていますね。 WILYWNKA:日頃、USの音楽もよく聴いていて、昔のポップスのヒット曲をサンプリングしたヒップホップも多いじゃないですか。純粋にそれがカッコ良いと思ってたし「俺もやりたい!」って。でも、それで俺らがUSの有名ドコロの曲をサンプリングして作るのはちょっと違うな、と思ったんです。それやったら日本人アーティストのめっちゃ名曲なポップスで作ろうとDJ UPPERCUTさんと話して。そこで、自分の1stアルバムのタイトルが「SACULA」で一緒というのもあったから、多分出て来たのが森山さんの曲やったんです。サンプリングの許可を出してくれた森山さん、SETSUNA INTERNATIONAL、UNIVERSAL MUSICにはホンマ感謝です。 ーフィーチャリングもベテランから若手まで幅広いラインナップで豪華です。「I am」ではWILY君もシーズン1で出演した「ラップスタア誕生!」の主宰者でもあるRYUZOを起用していて、驚きました。しかも、アルバムのイントロの前の1曲目にこの曲を配置しているので、WILY君もこの曲には思い入れがありそうですね。 WILYWNKA:それこそ今のレーベル(1%)に入ったキッカケはRYUZOさんから電話をもらって、そこからレーベルを紹介してもらったからなんです。RYUZOさんは関西ドープ・ミュージックの系譜の直系の方やし、俺もその系譜の下にいる。俺は「孫」ぐらいな感じです(笑)。だから、ここはビッグOGに「ここはお願いします!」と。「WILY、(レコーディングをするのが)、7年振りやで!」って言ってましたけど、ラップし始めたら俺の知ってるRYUZOやった(笑)。「リアルなフリした偽モン無理」とか「イカれてるヤツが好き」とか、RYUZOさんっぽくてあの人が言うから腑に落ちるワードがスゲェあるし、あの人のヒップホップへの愛もすごい感じた。自分のアルバムで7年振りのRYUZOさんのヴァースをみんなに聴かされるというのは光栄なことですね。 ー「Gorgeous」で参加している¥ellow Bucksは初共演となりますが、彼も2000年代前半のBAD BOY RECORDSサウンドを彷彿とさせるキラキラしたビートと相性が良いですね。 WILYWNKA:今までは自分の友達ばかりフィーチャリングに呼んでて、そういうイメージもあったと思いますし、あまり他所の人とやろうと思ったことがなかったんです。でも、今回Bucksを誘うことが出来たのは自分の中での良い成長やったと思います。純粋に、このアルバムはたくさんの人に聴いてもらいたいし、その中で俺が頭でっかちになってる場合じゃないな、って。そういう自分の尖ってた部分が自分を形成してたし、悪いところでもないと思うけど、それによって自分が思い描いてる風にならなかったり損してきた部分もあると思う。もっと素直になったらいいのにな、って。そこで今回Bucksに頼ませてもらったんですけど、ホンマに気持ち良い人で快くやってくれました。このトラックが出来て自分のヴァースを入れた後に「これは¥B絶対好きやろ!」と思いましたね。この曲が出来てアルバムが更にパワーアップしたと思います。 ー「Oh Girl」で客演しているguca owlは、既に彼名義の楽曲でもWILY君が参加しているし、近年メキメキと頭角を現している、WILY君が推している大阪シーンの若手ですね。 WILYWNKA:俺が推しているなんておこがましいですよ。彼は彼で突き進んでるから、俺は彼をフックアップしてるという意識はまったくないです。いちラッパーとして彼はカマしてるし、そんな彼にフィーチャリングで歌ってもらいたいと思っただけです。大阪に溜まり場となっているスタジオがあって、パッと行ったら誰かがYouTubeで動画を流してたりして、そこから関連動画で日本語ラップの曲が流れたりするじゃないですか。そこでようguca owlの曲が流れてくるんですよね。「High Wall」とかがメッチャ流れてきてカッコええな、って普通に思って、彼のライヴがghost(大阪のクラブ)であるというのを聞きつけて勝手に観に行ったのが最初に会ったときですね。前作で参加してくれたKID PENSEURもguca owlと同じ東大阪ですし、俺と同じ南大阪のSTICKY BUD$もいますし、今の大阪はホットですよ。