WILYWNKAが語る、「逆にフレッシュ」なアルバムに込めた真摯な想い
『90’s Baby』というタイトルの意味
ー同名曲も収録されていますが、今作のタイトルを『90’s Baby』と名付けた理由は? WILYWNKA:自分は1997年生まれだから、そのまま「90’s Baby」ですよね。で、1997年に生まれた自分が中学1年生からヒップホップを聴き始めたりラップをするようになって、そこからいろんな縁があってヒップホップの先輩たちと出会った。90年代やったらDJ PREMIER、2000年代初頭やったら50 CENTやDIPSETみたいな音楽を先輩たちに教えてもらって、それが自分のバックボーンであり自分がヒップホップを好きになった部分。だから、リアルタイムで聴いていたわけではないけど、そういう意味では俺が影響を受けてきたヒップホップは90年代から始まってるんです。あと、今の10~20代は最新のヒップホップを聴いてる人が多いと思うんですよ。トラップとかドリルとか。でも、俺のサウンドを聴いてくれたらそういうスタイルじゃない部分が多いと思うし、曲によって「『90’s Baby』はあのドラム使ってるね」とか「『Gorgeous feat. ¥ellow Bucks & Nephew』の元ネタはこれかな?」みたいに連想できるサウンドになってると思う。あくまで俺が影響を受けたヒップホップだけど、俺の音楽を通して今のキッズたちが「こんなヒップホップもあるんや」って知ってくれたら更にヒップホップの幅も広がるかな、ヒップホップの楽しみ方を更に広げてくれるかな、と思ってこのタイトルにしました。 ー初期からWILY君の音楽を追っている人たちからは、WILY君がいわゆるブームバップと呼ばれる90年代ヒップホップ的なサンプリング主体のサウンドが好きというのは広く知られていたと思うんです。今作では更に、「Gorgeous」「Oh Girl feat. guca owl」「Good Motherfxxer」のような楽曲で2000年代前半のUSメインストリーム・ヒップホップのオマージュを大胆に表現していますね。 WILYWNKA:「Good Motherfxxer」は余裕でNEPTUNESサウンドでしょ(笑)。「Gorgeous」とかは、今ちょっと問題になってる某ビッグ・プロデューサー(笑)。 ー正直、ここまで大胆なアプローチで来るとは思っていなかったし、故にフレッシュにも聴こえます。 WILYWNKA:「逆にフレッシュ」というのはホンマ俺も思ってることです。この部分は『COUNTER』との大きな違いになったかもしれないですね。90’sサウンドもめっちゃ好きですけど、結局俺が一番グッときたのは2000年代初頭のヒップホップなんです。今でも「一番好きな曲は?」って聞かれたら50 CENTの「21 Questions」一択。あの曲を初めた聴いたとき「何コレ!?」ってなりましたね。NATE DOGGの歌も50のラップも好きだけど、あの一個のリフをワンループでずっと流して、あとはベースとドラムしかないという、あのシンプルさはヒップホップにしかないと思うし、多分そこに食らったんやと思います。そこからNEPTUNESプロデュースの曲を聴いて、N.O.R.E.の「Nuthin’」とか……あの曲もトップ5に入るなー。あのへんのムードを日本でやりたい!って。 ー2000年代前半のサウンドを今作に取り入れるというアイディアはWILY君発のものだった? WILYWNKA:「Excuse Me」「Gorgeous」「Good Motherfxxer」なんかはモロ2000年代初頭感あると思うんですけど、それは自分がプロデューサーのTAKA PERRYさんやDJ UPPERCUTさんに「こういうのをやりたい」ってレファレンスを出したり話し合って作りました。今作は自分からイメージを伝えてトラックを作ってもらったものが多いと思うし、これまでのアルバムよりもそれは多いと思います。自分が今作に納得できたのは、そういう部分も影響してるかもしれないですね。