トランプ前大統領の暗殺未遂事件、被告が無罪を主張
ドナルド・トランプ前大統領に対する暗殺未遂罪で起訴されているライアン・ウェスリー・ルース被告(58)が9月30日、罪状認否のために連邦裁判所に出廷し、無罪を主張した。 検察当局は、トランプ大統領候補がゴルフをしていたフロリダ州ウェストパームビーチのトランプ・インターナショナル・ゴルフ・クラブで9月15日、ルース被告がライフル銃を持っているのを発見したとしている。 米大統領警護隊(シークレットサービス)は当時、茂みからライフル銃の銃身がのぞいているのを見つけて発砲。ルース被告は現場を離れたが、その後、高速道路で拘束された。 ルース被告は暗殺未遂罪に加え、銃器所持に関する罪や連邦職員への暴行罪でも起訴されている。 BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、ルース被告は30日、刑務施設などで使われる茶色の服を着て、手錠をはめられた状態で出廷した。 罪状が一つずつ読み上げられるたびに、同被告は確認として首を横に振った。 ルース被告の弁護士は無罪を主張し、陪審員による裁判を要求した。この日の審理は5分ほどで終わった。 暗殺未遂で有罪となった場合、ルース被告は最高で終身刑を受ける可能性がある。 先に裁判所に出された文書では、ルース被告が前大統領を殺すつもりだなどとするメモを事件の数カ月前に書いていたことが明らかになっていた。 氏名の明かされていない人物に送られた、「世界」に宛てた形式のメモは、今回の暗殺未遂事件をあらかじめ説明するような内容だった。 そこには、「これはドナルド・トランプを暗殺する試みだった」、「私は全力を尽くし、度胸のすべてを出し切った」と書かれていた。また、「仕事を完遂してくれる人」には現金で報酬を支払うと書いてあった。 ルース被告は事件当日に逮捕されて以降、南フロリダの拘置所に拘留されている。 ルース被告は過去に完全自動機関銃を所持して銃の重罪判決を受けるなど、多くの犯罪歴があり、その結果、銃器の所持を禁じられていた。 また、ウクライナの対ロシア戦争に参戦する志願兵の勧誘に積極的で、さまざまな政治的見解を持っていた。ただし、民主党員として登録されており、インターネット上では反トランプ候補の書き込みをしていた。 トランプ候補は7月にも、ペンシルヴェニア州の支援者集会で発砲され、負傷している。会場近くの建物の屋根からAR型のライフルで同候補に向けて発砲したとみられるトマス・マシュー・クルックス容疑者(20)は、その場で狙撃手に射殺された。 現職や歴代の大統領をはじめとする政治家やその家族らを保護するシークレットサービスは、銃を持った人物がトランプ候補に近づくことを許したとして、大きな批判を浴びた。 トランプ候補と支持者らは、シークレットサービスの警護に不満を抱いている。トランプ候補は30日、自分に対するの警護が縮小されたため、週末にウィスコンシン州で開催されたイベントを、収容人数の多い屋外ではなく屋内で開催せざるを得なくなったと語った。 これに対しシークレットサービスは、ニューヨークで開催される国連総会のために人手が足りなかったと述べた。シークレットサービスは、訪米中の外国首脳の警護も担当している。先週の国連総会では首脳140人以上の参加が見込まれていた。 (英語記事 Man charged in Trump assassination plot pleads not guilty
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