「収益重視や閉鎖的組織風土」神戸製鋼がデータ改ざんで社内調査報告書
アルミや銅製品などで検査データ改ざん問題で、神戸製鋼は10日、収益重視や閉鎖的な組織風土が不正の原因とする社内調査報告書を公表した。都内で会見した川崎博也会長兼社長は「品質に関わる不適切な行為により、多数の皆様に多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」と謝罪した。
会見に先立ち、同社は経済産業省にこの報告書を提出した。 川崎社長は「今回事案では、複数の部門にまたがる広範囲の関与者がいて、長期間にわたり不適切な行為が継続された。社内で公に発覚しなかった特徴がある」と述べ、 不正が行われた原因として報告書が結論づけた5つの項目を説明した。 (1)収益評価に偏った経営と閉鎖的な組織風土 (2)バランスを欠いた工場運営 (3)不適切行為を招く不十分な品質管理手続き (4)契約に定められた仕様の遵守に対する意識の低下 (5)不十分な組織体制 報告書によると、同社は厳しい経営環境下において、収益を重視し、経営の効率化を図るために、より下位の組織に権限を移譲して自律的な運営を促してきた。そのため、収益が上がっている限りは不適切な行為の有無を把握しようとする姿勢が不十分だった。また、経営が工場の困り事を解決しないため、工場で起きている問題に現場が「声を上げても仕方がない」という閉鎖的な組織風土を生んだとしている。 再発防止策としては、「品質はコストや納期に優先する」という価値観を品質検証として定め、これに準じた目標や指標を設定することや、全社員を対象にコミュニケーションを取る機会を充実させることなどを掲げた。 同社は、年内めどに完了する外部調査委員会の調査報告を踏まえ、最終的な再発防止策をあらためて検討するとしている。