ワクチン幻想に騙されない…菅首相「2月下旬接種」と自信も先行する欧米は大混乱
コロナ禍は拡大の一途で、1都3県を対象とした緊急事態宣言の再発出が確実となった。にもかかわらず、菅首相の危機感は薄い。 4日の年頭会見で「感染対策の決め手となるワクチンについては、2月中に製薬会社の治験データがまとまるということだったが、日本政府から米国本社に強く要請し、今月中にまとまる予定だ」と自信をみせ、2月下旬までに接種が始まれば感染は抑止できると言わんばかりだった。能天気すぎやしないか。先行する欧米ではワクチンをめぐって大混乱している。 ■米国では接種後に感染 米国ではファイザー製の接種を受けた看護師が感染。ワクチンの効果がなかったのか、感染が判明したのは接種から8日後のことだった。変異種が猛威を振るい、連日5万人ペースで感染が広がる英国では、接種方法をめぐるバトルが勃発。3週間あけて2回接種する予定だったファイザー製とアストラゼネカ製のワクチンについて、英政府は最大3カ月の間隔をあけると決定した。1回目の接種拡大を優先するためで、ファイザーは「安全性と有効性は確認できていない」と猛反発している。 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)はこう言う。 「ワクチンをめぐる混乱はデータ不足の裏返し。十分な治験を実施せず、短期間で実用化されたため、分からないことが多すぎるのです。ワクチン接種は人体実験のようなもの。モルモットになるのはごめんですから、私は受けません」 昨年末までに2000万人の接種を目指していた米国では、マンパワー不足で計画が頓挫。連邦政府からの補助金不足でスタッフの雇用が進まず、実際には7分の1程度の280万人ほどしか接種できなかったという。年明けから1日当たり約50万回にピッチを上げている。一方、接種開始から1週間が過ぎたフランスでは、約430人(2日時点)しか受けられておらず、野党が「お役所仕事だ」とマクロン政権への批判を強めている。 日本も他人事じゃない。ワクチン幻想はいつまでも続かない。