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オンラインスナックで会いましょう 「諦めずに頑張ってます」 自粛の夜の街で試行錯誤  

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 グラス片手に、オンラインスナックでお会いしませんか―。苦境にあるスナックやクラブが、スマホやパソコンのテレビ電話を使ったオンライン営業を試みている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請などで、夜の街から酔客は激減。先の見えない自粛を乗り切ろうと始めた「苦肉の策」だが「いちげんさん」との新しい出会いも生まれている。「夜の街は諦めずにいろんな形で頑張っている。お客様にも、同業者にも知ってほしい」。大阪・心斎橋に店舗を構えるスナックのオンライン営業を取材した。(共同通信=坂野一郎)  「ドリンクありがとうございます。いただきます!」。4月16日未明、大阪・心斎橋。「スナック&バーえまり」の店内に客はおらず、ママの井口茉莉江さん(28)が一人だけ。スマホを介した「バーチャルスナック」を営業していた。スマートフォンのカメラにグラスを近づけ、画面越しの客と笑顔で乾杯した。  店ではテレビ会議アプリ「Whereby」を介した接客を4月10日から始めた。1時間2千円からで、予約時にオンラインで決済する仕組みだ。客は飲食物を自分で用意し、パソコンやスマホの前でママとの時間を楽しむ。料金を払えば、ママにドリンクをプレゼントすることもできる。

 利用客からは「早く本当の店に行きたくなった」「ママの元気な顔が見られてうれしい」との声が届いた。茉莉江さん自身も客と1対1で長時間話せる機会を「心の距離が縮まった気がする」と貴重に感じている。  ツイッターを通じて営業を知り、初めて「来店」した客も。新規開拓にもつながっているが、売り上げは通常の3割に満たない。  「えまり」は政府の緊急事態宣言後の4月8日から通常営業を自粛。10日に迎えた開店1周年も祝えず、なんとかしなければと始めたのがオンライン営業だった。同じフロアに入る他の飲食店も、次々と営業をやめた。普段は多くの酔客でにぎわう心斎橋の繁華街も、人通りはほとんどない。「こんな風になってしまうんや」。店からの帰り道、がくぜんとした。  「ランチとテークアウト始めました!」「無期限の休業とさせていただきます」―。店の軒先に並ぶ看板や張り紙には、苦渋の決断をした店主たちの顔が透けて見える。一方、通常営業を続けた茉莉江さんの知人の店には「なんで開けてるんや」との苦情があったという。

 「自分の店やのに、生きていくためやのに」  自分は自粛したが、通常営業する店の気持ちも分かる。家賃、光熱費、人件費。経費を想像すれば、人の決断に軽々しいことは言えない。  店に来てその雰囲気や他の客との交流を楽しんでほしいのが本音だが、自粛生活の終わりは見えない。店舗での営業は当面は難しいと感じている。「店は絶対つぶしたくない。スマホの前では笑ってますが、本当に必死なんです」。その日のオンライン営業を終えた茉莉江さんの苦笑には、決意と不安が入り交じっていた。

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