「妻には言わないでほしい」 口論の引き金は”支払われなかった740万円の手付金” 小学校教員の妻(当時35)を殺害した罪に問われた夫(42) 事件直前にマンション購入めぐるトラブル
■新築マンション購入めぐりトラブル 事件がおきた去年9月、夫婦は新築マンションのギャラリーを訪れ、販売価格4790万円の部屋の購入を決めた。 2400万円を彩さん名義でローンを組み、残りの2390万円は渡辺被告が支払うことにした。2390万円のうち470万円を手付金として振り込むことになっていたが、渡辺被告が手付金を支払うことはなかった。 9月10日 夫婦は15日までに手付金を支払い、17日に売買契約を締結するとマンション販売会社の従業員に話す 9月15日 渡辺被告は手付金の支払いをせず 従業員からの連絡に「振り込み手続きはしたがミスで入金が19日になる」と嘘をつき「妻には黙っていてほしい」などと伝える 9月17日 夫婦はギャラリーで売買契約書に署名 9月19日 渡辺被告は手付金を振り込まず 「手続きはしたが送金限度額を超えたたため送金できない。20日午前10時までには振り込む。妻には言わないでほしい」などと従業員に伝える 9月20日 渡辺被告は手付金を振り込まず マンション販売会社の従業員が彩さんに連絡 手付金が振り込まれていないことを伝える 彩さんが電話で渡辺被告を叱責 ■事件が起きた9月21日 渡辺被告の行動 そして9月21日、事件は起きた。 午前3時46分ごろ、実家にいた渡辺被告は、彩さんから電話で速やかに帰宅するように言われマンションに帰宅した。 午前7時55分、子ども2人を連れて外出。 午前8時12分に彩さんの勤務先の小学校に電話を入れ「病気のため2日間ほど休む」と伝えている。 その後も「(彩さんが)精神的に病んでおり休ませる」などと嘘の連絡をし、彩さんの家族にも同様の嘘を言っていたという。 9月22日以降は実家やビジネスホテルに宿泊していた。 渡辺被告の供述調書によると、「においがしたので、子供とホテルに滞在することにした」。 ■1か月後、心配した彩さんの両親と弟たちが遺体を発見 およそ1か月が経った10月19日午後10時前、彩さんと連絡がつかないことを心配した彩さんの両親と2人の弟が渡辺被告に連絡し、自宅を訪問。 渡辺被告は彩さんの家族がマンションのエントランスを通り部屋に入る前に、彩さんが死亡したことを打ち明けた。 (彩さんの父親の供述調書より) 遺体を発見した日は、車の中に司さん(渡辺被告)がいて、彩のことを尋ねると言葉を濁し、要領を得ないことを話していました。 部屋に向かっているとき、司さんから「彩は死にました」と聞きました。 弟2人が鍵を取り上げて急いで部屋に行くと、ベッド上でなくなっている彩を発見しました。 「何でここまでほったらかしていたのか」と尋ねると「子供たちになんて言ったらいいか分からなかった」「9月21日にビニールで首を吊って自殺しました」と言われました。 「どこでね」と尋ねると黙り込み「すみません」と小さな声でずっと言っていました。