憲法と戒厳法に則った〝非常戒厳〟が〝内乱企図〟に 扇動と時流で決まる国柄の哀れ…「強い方に付け」で社会主義体制の地獄へ
【室谷克実 深層韓国】 韓国人は「非常戒厳」が解除されるやいなや、「強い側に付け」「法理より時流だ」とばかりに走り始めた。80年前、日本が降伏するや、朝鮮人がみんな「私は反日派だった」となった状況を想起せざるを得ない。いま走っていく先は、「反米」「反日」「従北」「親中」「親露」の社会主義経済体制だ。その地獄を味わったとき、韓国人は「だから私は戒厳令に賛成していたのだ」と嘆くのだろう。 韓国でも日本でも誤解している人が多いようだが、「非常戒厳」の宣布は、憲法と戒厳法に則(のっと)っている。 もちろん、あの時点で、内部連絡が不行き届きのままでの宣布は大きな疑問だ。 しかし、戒厳軍の国会到着が遅れたという漫画のような落ち度はあれ、国会が「解除要求」決議を可決するや、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は憲法規定に従って戒厳を解除した。すべて憲法の枠組みの中の動きだった。 ところが、国会で多数を占める左翼政党「共に民主党」の扇動で、韓国社会はたちまち「失敗した戒厳令」を「内乱企図」に読み替えた。 「戒厳軍が逮捕する政治家リストを作成していた」「国防相が大統領と非常戒厳について事前に協議していた」「大統領が戒厳軍の動向を尋ねた」…。非常戒厳発動なら当たり前のことではないか。それを「内乱罪の証拠」であるかのように、保守系紙まで書き立てている。 非常戒厳の実動部隊である特戦司令官は、米韓連合軍副司令官から民主党議員になった人物が主宰するユーチューブ番組に出演して、涙ぐみながら「私はできる限り抗命した」と弁明した。 泣く子も黙るはずの「斬首部隊」の司令官も、同様に振る舞った。司令官からしてこれでは、まさに弱軍弱兵。北朝鮮が南進してきたとき、戦えるのか。 保守系紙の朝鮮日報(12月7日)が「非常戒厳を巡り崩れゆく韓国軍」との見出し記事で、〝腰抜け司令官〟を批判したのが、せめてもの救いだ。 民主党は図に乗って、韓悳洙(ハン・ドクス)首相まで内乱罪で告発し、弾劾決議案を提出するとしている。まさしく、社会主義革命のバイブルに沿って「無政府状況」を現出させて、政権を手に入れようとしているのだ。