「麒麟がくる」眞島秀和インタビュー!「現場ではいつも、みなさんすごいなぁって思うことの連続なんです」
大河ドラマ「麒麟がくる」に細川藤孝役で出演している眞島秀和。眞島にとって大河ドラマへの出演は今回で3作目となるが、同年代の役者仲間である長谷川博己が主人公・明智光秀を演じることもあり、ことさら特別な作品になっているという。2021年2月の最終回に向けて撮影も佳境を迎える中、自身が演じる藤孝についてはもちろん、共演者たちとのエピソード、大河ドラマへの想いなどを語ってもらった。 ■大河ドラマへの出演は身が引き締まる思いがします 【写真を見る】撮影中に「麒麟がくる」のオープニングテーマを流すと笑顔に ――眞島さんが大河ドラマに出演されるのは「天地人」(2009年/豊臣秀次役)、「軍師官兵衛」(2014年/顕如役)に続き、今作で3作目となりますが、眞島さんにとって大河ドラマとはどのようなものですか? 大河ドラマといえば、子供の頃に見た「独眼竜政宗」(1987年)の印象が強いです。山形県米沢市出身の僕にとって伊達政宗は身近な存在でもあって、大好きで全話見ていました。翌年の「武田信玄」(1988年)も全部見ていましたね。歴史好きになるきっかけになったドラマでもあるので、自分が大河ドラマに出演できるとなると、身が引き締まる思いがします。特に今回は、ここまで長いスパンで関わらせていただくのは初めてということもあって、特別な作品に出させていただくような感覚があります。 ――今作で細川藤孝を演じることになったことについては、どう感じられましたか? 藤孝はもちろん知っている人物ではあったのですが、実はそこまで詳しくはなかったんです。やっぱり、どうしても地元の山形をはじめとする東北地方の人物や武将の方に思い入れがあったりして、戦国時代の状況も京都方面がどうなっているのかというのはあまり知らなくて(苦笑)。子供の時にハマっていた戦国時代のテレビゲームでも、地元の武将ばかり選んでましたから(笑)。なので、今回「麒麟がくる」に携わることになって初めて、当時の京都はこんなに複雑なことになっていたんだ、藤孝はこういう人物だったんだって知ることができて、すごく勉強になりました。 ――藤孝を理解するために台本以外にも何か参考にされたんですか? 自分で調べられる範囲ではありますけど、藤孝について書かれている本などは読んだりしました。でも、撮影に入る前にプロデューサーや監督から、熱い人物像で演じてほしいと言われていたので、演じる時はそこを意識しています。 ――演じる前と、実際にここまで演じられてきた今とでは、藤孝の印象に変化はありますか? 演じる前の印象としては歴史上の印象通りというか、(剣術に加え、和歌や茶道などの文芸、囲碁、猿楽にも精通した)オールマイティーにいろんなことができる人物と捉えていました。ですが、実際に撮影に入ってみると、藤孝の文化的側面を描いているところはそれほどなくて。それもあって、これまで演じてきた藤孝の印象は、若い時は理想に燃えるような熱い志を持った人物が、徐々にバランス感覚に優れていくような感じになってきたのかなと思っています。 ――藤孝を演じながら共感できるところや自分に近いと思う部分はありますか? 自分に近いかどうかは分かりませんが、藤孝の描かれ方として、複雑な状況をシンプルに捉えて判断を下していくようなイメージがあって、そういうところにはすごく共感が持てます。 ■同世代の役者たちと芝居をするのはものすごく楽しいです ――長谷川さん演じる光秀の印象はいかがですか? 光秀は謎が多い人物と言われていて、今回の作品ではフィクションの部分もかなり多いと思うのですが、とにかくさまざまな人と人とをつなげた人物なんだなって印象があります。フットワークもすごく軽いですよね。長谷川くんが演じていることもあって、飄々としていながら爽やかなイメージになっていると思います。 ――また、染谷将太さん演じる織田信長の印象はいかがでしょうか。 非常に魅力的な信長だなと思っています。登場シーンなどをオンエアで見ていても、染谷くんがどういうふうに演じていくのか興味があったので、“こうきたか!”っていう。新鮮さもあるし、説得力もあるし。見ていてすごく楽しいですね。 ――脚本は「太平記」(1991年)以来の大河作品となる池端俊策さんです。脚本の印象を教えてください。 これまでのオンエアを見ていて思うのは、望月東庵(堺正章)や駒(門脇麦)、伊呂波太夫(尾野真千子)といった架空の人物の配置のされ方が絶妙だな、と。謎の多い光秀だからこそ、架空の人物を配置することによって光秀の人物像がより際立ってくるような気がして、そのへんが面白いなと思っています。 ――今回の大河ドラマの特徴の一つでもある、戦国時代ならではの合戦というより幕府の内側を描いている点についてはいかがですか? いつの時代も、いわゆる旧体制と言われている人たちと新しく何かを始める人たちは常にぶつかるんだなという印象があります。後者がまさに光秀と藤孝だったりするので、当時の2人はいろんなもどかしさを感じながら動いていたんだろうなって思いながら演じています。 ――光秀と藤孝は盟友として知られていますが、これまでの中で特に印象に残っているシーンはありますか? 2人で話すシーンはたくさんあるので、一つには絞れないのですが…。例えば、光秀と藤孝が最初に出会うシーンもそうですし、その後、水飴を持ってお見舞いに行くシーンは、僕がクランクインした日だったこともあって印象に残っています。 ――長谷川さんとは現場でどのようなやりとりをされているんですか? 基本的に、芝居に関してのことは監督の指示に任せているので、2人ではそんなに話さないです。本当にたまに、台詞のタイミングはどうする?みたいなことを話すくらいです。 ――大河ドラマというと、大御所と呼ばれる方々から若手まで幅広い世代の役者が集まっているのも魅力です。一緒に演じている中で、特に印象に残っている方はどなたですか? 僕から見たら本当にそうそうたる方たちの中でやらせていただいているので、現場ではいつも、みなさんすごいなぁって思うことの連続なんです。その中で、実際に現場でお会いする機会はなかったんですけど、本木(雅弘)さんの斎藤道三はオンエアを見ていてすごいなぁと思いました。 ――長谷川さんをはじめとする同世代の方との芝居はいかがですか? 正直、ものすごく楽しいです。長谷川くんとは同い年で、撮影の序盤から2人のシーンも多かったんですけど、途中から滝藤(賢一)くん(足利義昭役)も加わって。新しい義昭像を目指して演じられてるし、滝藤くんって、僕にはあまりないような個性をたくさん持ってらっしゃる方で、本当に素晴らしいなと思って見てます。 ――「僕にはあまりない個性」とは……? 何でしょう…分かりやすく言うと、目が大きいとか(笑)、表情がかなり豊かなところですかね。同世代の役者に関しては、みんないろいろ違いがあって面白いなぁと思いながら演じています。 ■「麒麟がくる」の現場に入る前は、オープニングの映像を観て気持ちを切り替えます(笑) ――眞島さんはこれまでさまざまな作品に出演されていて、作品ごとに学ぶことや感じることも多いと思います。今回の大河ドラマでは、俳優としてどんなことを感じられましたか? いろんな現場に行って、いろんな役者と芝居して、そこから吸収することは本当にたくさんあります。でも、今回は何より、同年代の長谷川くんが大河ドラマの主役として、コロナ禍での撮影中断を挟むなどハードなスケジュールの中、ずっと真ん中に立っている姿を見ているだけでもかなり刺激になりましたし、勇気をもらえました。 ――大河ドラマと並行して他の作品にも出演されていましたが、気持ちの切り替えというのはどのようにされているんですか? 「麒麟がくる」の現場に入る前は、オープニングの映像を毎回見るようにしています(笑)。そうすると、身が引き締まるような感じがするんですよね。あのテーマソングもかっこいいですし、見ると「よし、『麒麟がくる』の現場だ」みたいな気持ちになれるんです(笑)。 ――先ほど、大河ドラマは特別なものとおっしゃっていましたが、大河ドラマの主役を演じてみたいと思われますか? いや~、どうでしょうね…。常に言っていることなんですけど、僕は「仕事がしたい」という気持ちがみなぎり続けてここまできていますので。もしキャスティングしていただけたら、全力で頑張りますとしか言えないといった感じでしょうか(苦笑)。 ――主役として演じてみたい人物はいますか? やっぱり地元の人が好きなので、もし演じられるとなったら、大好きな酒井玄蕃(酒井了恒)ですね。年齢的にはちょっと合わない世代になってきちゃったんですけど……。でも、これ、もちろん妄想話ですよ(笑)。 ――ちなみに酒井玄蕃のどんなところがお好きなんですか? 調べてみると、東北屈指のイケメン武士とありましたが。 そこは関係ないんです(笑)。酒井玄蕃は幕末の庄内藩の武士なんですけど、戊辰戦争を無敗で戦ったっていうのがかっこいいなぁって。他にも、偵察に出した部下が帰ってくるまで起きて待ってるとか、兵士と同じものを食べるとか、敵兵の亡骸も埋葬するとか、酒井玄蕃にはいろんなエピソードがあって、何かひかれるんですよね。 ――今回の「麒麟がくる」では、光秀と藤孝の友情に胸を打たれるシーンも多いのですが、眞島さんにとって光秀のような存在の人っていらっしゃいますか? そんなに多くはないですけど、役者仲間でも何人かいるし、あとはやっぱり20代の頃に一緒に自主映画を作っていた仲間ですかね。当時は役者を目指していた奴や、映画監督を目指してる奴もいて。今はみんなそれぞれ違う道を歩んでますけど、人生を生きていくうえでの同志みたいな意識はあるので、たまに会いたくなったりします。 ――最後に眞島さんにとって2020年がどんな年だったか、そして2021年はどんな年にしたいかを教えてください。 2020年って、何か2カ月くらい空白の時間でしたよね? なので、あっという間の1年でした。世の中の誰もが、こんな年ってあるんだって思うくらいの年だったと思うので、2021年は少しでも明るく過ごせたらいいなと、ただただそう思います。