長引く痛みについて適切に知って 慢性痛の専門家がYouTubeで毎週「痛み塾」をアップ
長引く痛みは、身体に苦痛をもたらすだけでなく心の健康も削り取り、生活の質を大幅に低めてしまう。そして、痛みの原因は、心理的、社会的な要因も複雑に絡んでくる。治療がしにくいのもそのためだ。 そんな慢性痛について適切に理解してもらおうと、横浜市立大学附属市民総合医療センター ペインクリニック内科診療部長で公認心理師でもある北原雅樹さんが「慢性の痛み講座 北原先生の痛み塾」(https://www.youtube.com/channel/UCmpwIqPLM3h3XUPEDT7owrQ/videos)を毎週水曜日に公開している。 長引く痛みを訴える患者を30年以上診てきた北原さんは、「生活習慣を変えることで多くの場合、生活に支障のない程度まで良くすることができます。少しでも多くの方にちゃんとした慢性痛の情報を知ってほしい」と語りかけている。 【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】
毎週水曜日に新作をアップ 視聴者の質問も取り入れる予定
そもそも慢性の痛みとはどういうものなのだろうか? 「慢性痛の定義は現在は『3か月以上続く痛み』とごく簡単になっています。色々条件を付けるとかえってややこしくなるからです。原因は多くの場合がよくわかりません。一方で、多くの場合が生活習慣と密接な関連があります。生活習慣病といっても良いでしょう」 原因がわからないということは、特効薬を飲めばパッと治るという性質のものではない。 「特効薬はなく、生活習慣の改善、運動療法、心理療法などを中心として、補助的に薬物療法やその他の療法(神経ブロック療法など)を用います」 医療機関にかかってもなかなか治らず、不信感が募ると、次々にかかる医者を変えるドクターショッピングを繰り返すことも多い。 「最大の理由は、医療者も患者家族も慢性痛についての十分な知識・情報を持っていないからでしょう。だから、少しでも多くの方にちゃんとした慢性痛の情報を知ってほしいのです」 この動画は、そんな狙いから、神奈川県の2018年度大学発・政策提案事業に採択された「神奈川県における慢性痛対策としての啓発活動」の一貫として配信することを決めた。新型コロナウイルスの影響で、講演会や研修会が開けなくなったためだ。 医療者や一般市民を対象として行う講習会の内容をビデオ撮りして、ユーチューブにアップする。 今のところ、1回 3~10分程度で全30回公開することが目標だ。慢性痛についての解説から、様々な治療法、よくある誤解まで、視聴者のコメントや質問も取り入れながら、幅広く届ける予定だ。 「急性の痛みと慢性の痛みとの違い」「痛みの要因は?」「痛みの軽減が治療の第一目標ではない」など、イラストも交えて驚くような事実がわかりやすく語られる。