「自分ひとりで抱えなくていい」海外で起業と子育てを経験した私が、日本の女性たちに届けたい思い
海外で母親になり子育てをするとは、想像していなかったーー19歳の時に単身渡米した女性が、現地での子育てを通して感じたこととは。徳升笑子さん。現地の美術学校を卒業後、イベント・フローラル・デザイナーとして就職。その後はフリーランスとしても働きながら、ニューヨークで自身のイベントデザイン会社「PreciousSkyDesignNYC(プレシャス・スカイ・デザイン)」を設立。本も出版している。社長でもあり2人の子の母親でもある徳升さんに、アメリカでの起業や子育て、それらを通して得た価値観について聞いた。
「何になりたいか」を問う日々
徳升さんは16歳の時、アメリカのロサンゼルスとニューヨークに短期バレエ留学をした。 「その時ニューヨークで感じた独特な雰囲気や価値観の多様性に圧倒されて、いつかまた戻ってくると決めていました」 1年という期限を設定し、19歳の時に再びバレエで渡米。迷うことなくニューヨークを留学先に選んだ。 しかし、1年と決めていた留学も半年が過ぎたところで複雑骨折をしてしまい、アメリカに残るか日本に帰るかの岐路に立たされた。そこで初めて、今後の自分について考える時間ができた。 「自分は本当は何がしたいのか」「どんな人生を歩みたいのか」を自分自身に問いかける日々だった。日本にいた時は考えたことがなかった。
そして選んだのは、残るという道。 自分のやりたいことは何かを考えるうちに、母との思い出がよみがえった。 子どものころ、忙しかった母の笑顔を見たい一心で、毎朝、食卓の上に庭で摘んだこだわりの花を活けていた。 「私はゼロから何かを生み出すことが好きで、空間をデザインすることも好き。イベントを企画して人に喜んでもらうことも好き。お花が好き」 自分の「好き」を生かしていつか自分の会社を設立しよう。そう考え、現地のアート&デザイン学校に進学した。 通っていた学校の先生でイベントデザイナーの元でインターンとして経験を積み、学校を卒業後は現地の大手イベントデザイン会社に就職する。 そこで10年間イベントデザイナーとして働きながら、念願の自分の会社を設立した。