中日の新外国人ロサリオのデータを分析!特徴的な2シームとスライダーで勝負!
昨シーズン8年ぶりのAクラスに返り咲いた中日は、最優秀中継ぎのタイトルを受賞した祖父江大輔・福敬登、そして守護神のR.マルティネスによる勝ちパターンが定着した。しかし、30試合以上登板した左腕は福のみと、左投手不足に苦しんだ1年でもあった。 そこでチームは、メジャーで主にリリーフとして69試合の登板経験があるランディ・ロサリオを補強した。今回は2020年のトラッキングデータから、チームの投手力向上への貢献が期待される助っ人サウスポーについて分析していく。
2シームとスライダーが投球の8割を占める
まずはじめに、平均球速と投球割合をみていく(表)。持ち球は4種類あるが、投球割合は2シームとスライダーで8割以上を占めている。4シームの投球割合が非常に低く、2つの変化球を軸とするピッチングは極めて珍しいタイプといえるだろう。 平均球速をみると、2シームはメジャー平均に迫る数値を記録している。これは、プロ野球で4シームを主体とする投手と比較しても高速な部類に入る。また、スライダーも球速比93%とかなり高速なボールであることがわかる。プロ野球においても、投球の組み立て方に大差はないだろう。
サイドスロー投手のような2シームが特徴的
続いて、ボール変化量をみていく(図)。投球の軸となっている2シームは縦の変化量がメジャー平均よりもかなり小さく、まるでサイドスロー投手の速球のようなボールだ。ロサリオのようないわゆるスリークォーターの投手がこのようなボールを投球することは珍しく、初対戦の打者にとっては非常に気味の悪い球質だろう。今シーズンで3年目を迎える西武・ニールが投じる2シームに近い球質だ。さらに、ロサリオの2シームは高速であることも考慮すると、ゴロを量産する投球に期待が持てる。 スライダーは先述の通り高速なボールであるが、平均程度の変化量がある。通常、高速な球種は変化量が小さいという特徴があるが、ロサリオのスライダーは球速と変化量を見事に両立している。高速に変化するこの球種は、空振りもゴロも奪うことができるだろう。これら特徴的な2球種を、打者の左右問わずコースに投げ分けることができるかがポイントとなりそうだ。