日産 GT-R プレミアム エディション Tスペックは「諦めない」!不屈の国産スポーツカー、未だ一級品の証し【新型車試乗】
一見変化がわからない24年と25年モデルの違いはどこか
ところで、試乗車の2025年モデルのルックスは、端的に言って、2024年モデルと見分けが付かないもの。実はGT-Rは、「今度こそファイナルモデルなのでは」と巷で噂をされた2024年モデル登場の段階で、かなり大幅な手が加えられていたからだ。 2024年モデルでは、最大のハードルと目された新しい騒音規制への対応を排気系の一新によってクリアすると同時に、誕生以来初となるリアスポイラーのデザイン変更やフロントマスクのイメージチェンジも実施するなど、見た目のリファインにも踏み込んだ。 それは、毎年のようにリファインを重ね進化を続けてきたR35型の歴史の中にあっても、最大級の飛び幅が適用されたビッグマイナーチェンジだったと言って良い。それゆえに、2025年モデルは一部グレードに特別内装色が設定されたことを除けば、2024年モデルとの見た目の違いは皆無。 ただしPremium edition T-spec 、Track edition engineeredby NISMO T-specの2モデルには、GT-R NISMO Special editionに採用していた高精度重量バランスのピストンリング、コンロッド、クランクシャフトなどを用いてレスポンスの精度を向上。さらに、赤文字で匠の名が刻まれたアルミ製ネームプレート、ゴールドのモデルナンバープレートを装備する。
洗練度は明らかにアップ。荒天下では安心感が際立つ
率直なところ、エンジン部分の進化は公道上をちょっと飛ばす程度の乗り方では「明確に実感出来なかった」と言うしかないというのが実情。ただし、いまだ記憶に残るデビュー初期の全般に粗削りな印象からすると、改めて感じるその進化の度合いにはさすがと思わせる部分はやはり少なくない。 まず、加速感にしてもフットワークのテイストにしても、熟成著しいことを感じさせられたのがそのスムーズさ。とくに変速時に「故障をしているのでは?」と感じさせられるほどに顕著だったDCTが発するメカノイズが一切気にならなくなったのは見事。最新のモデルでは文字どおり電光石火でシームレスな変速が一切の金属的なノイズを伴うことなく行われる。 同様に、「大いに熟成が進んだ」と実感させられたのはその乗り味だ。当然のようにサーキット走行を視野に入れ、パンク時の利便性のみならずスピード性能の向上を目的としてのランフラットタイヤ装着もあって、思い切り硬派な走りのテイストにも「これは仕方がないな」と半ば諦めの気持ちを抱くことになったのが誕生初期のモデルのフットワークテイスト。 ところが、2025年モデルでのそれは時に〝しなやか〟という表現を使いたくなるほどに滑らかさが増している。昨今は稀になった油圧式パワーステアリングがもたらす、とくに低速域でまったりと重いフィーリングや現在でも明確にステアリングホイールに伝わるワンダリング現象などに〝寄る年波〟を感じさせられる場面もあるが、それでもこのあたりは記憶に残る初期モデルの印象とは雲泥の差を教えられる部分なのである。 一方で、もちろん発売当初から今へと受け継がれたR35型ならではの〝遺産〟と呼びたくなる美点も数多く存在。最新のモデルでは最高出力570ps/最大トルク637Nmを発するエンジンの、現在でもその強烈さには満足するしかない際立つパワー感。そして、それを無駄なく路面へと伝える圧倒的なトラクション能力も、連綿と続くR35型ならではの見どころであることは間違いない。
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