"2人ともママ"だと何が大変? 子育て中の「同性婚」女性カップル、まちさん&テレサさんが語る
妊娠・出産を決意する前に考えたこと
「差別的なこともあるのではないかと、一歩踏み出すまでにもいろいろと悩みました」(まちさん) 「自分たちに対しての差別だったらまだしも、子どもに向けての差別があったらどうしよう、子どもにそういう人生を送らせていいのか、という疑問はありました。でも、仮に差別があったとしても、差別する側が悪いのは変わらないですよね。娘に悪いことをしているわけではないですし、2人のママがいることは悪いことではない。徐々に社会も変わっていくだろうから、良い方向に変わっていくように自分たちも頑張ろうと思ったんです」(テレサさん)
同性婚裁判に注目してほしい
まちさんは、特定NPO法人「虹色ダイバーシティ」の理事も務めているが、同性婚の法制化を求める“結婚の自由を全ての人に”訴訟で関西地方の原告も務める。同性カップルでも社会の一員として認められ、安心して暮らせていける、子育てできる社会にしていくためには、「同性婚ができるようになるのが一番早い」とまちさん。「求めるところは、平等な権利。この問題を次の世代に引き継ぎたくない、という思いで原告になりました」。 世論もこれを後押しする。 JNNの調査によると、同性婚を法的に認めることについて、18歳以上の男女の63%が賛成と回答。18歳以上30歳未満の女性においては賛成が91%に上った。また、パートナーシップ制度を導入している自治体は、2024年2月1日現在、人口カバー率で80%を超えた。 同訴訟は、全国5つの地方裁判所(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)と札幌高等裁判所で判決が言い渡され、全7つの判決のうち、6つの判決で同性カップルが結婚できない現状は“違憲”とされた。しかし、法改正に向けた具体的な議論はまだ進んでいない。 「ここまで賛成の声があるにもかかわらず、国が動いてくれないのが現状」とまちさん。「同性婚の法制化を実現するためには、当事者以外の方々の声を届けることが必要なのだと感じています。まずは実際に、私たちのような当事者がいることを知ってもらえたら。そして、ぜひ裁判や判決にも注目してもらえたら嬉しいです」。 同訴訟は、各地の裁判所において審理が続いている。有権者の声を届ける手段として、地元の国会議員に手紙を書いて送るという方法もあるそう。“同性婚に賛成だからいいや”ではなく、一歩踏み出してみたいと思ったら、公益社団法人「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」のWebサイトも参考にしてみて。 「家族といえば、結婚している男女と子ども、というかたちが想定されがちですが、それに限らず様々な家族があるということが、多くの人にとって当たり前の選択肢としてあるといいなと思います。子どもを持つために結婚しなければいけないとは思わないし、シングルで子どもを育てても何も問題ないはず。結婚も子育ても、やりたい人が自由にできるようになり、社会もそれを支えるというふうに変わっていけたら一番だと思います」(テレサさん)
Harper's BAZAAR JP