"2人ともママ"だと何が大変? 子育て中の「同性婚」女性カップル、まちさん&テレサさんが語る
出生届に名前を記入できるのは片親のみ
現行の日本の法律上、2人は結婚していないため、子どもの親権を持つのはテレサさんのみ。出生届に2人の名前を記入することはできなかった。 「出生届には“父母の氏名”という欄がありますが、父の欄にまちの名前は書けませんでした。出生届はまちに出してもらいましたが、法律上全く関係のない人が代理で出している、という形になりました」(テレサさん) 日本の法律上は“アメリカ人のシングル”であるテレサさんが出産したため、子どもの国籍はアメリカ。男女の日米夫婦の子供のように、二重国籍を取ることはできない。同性かつ国際カップルで子供を持つケースは多くなく、情報は少ない。
アメリカの出生届との違い
アメリカ人の子どもであるため、アメリカ領事館にも出生届を提出。そこには、2人の名前を親として記載することができたそう。「親の名前を書く欄に、ファザー、マザー、ペアレントという3つの選択肢がありました。なので、2人ともペアレントを選択して2人の名前を記入しました。日本の書類ではないものの、それが唯一、親子関係を証明できるもの。ただこれは、私がアメリカ人で、私たちがアメリカで結婚しているからできること。日本人同士の同性カップルだったら、法的に親子関係を証明できるものは何にもないと思います」(テレサさん)
親権がないことでの葛藤
「親権がない側の悩みは、ことあるごとにそのことを感じさせられることです。私は娘の銀行口座さえ作れないし、娘名義で学費を積み立てたり、保険の受取人に指定することもできず、ただの同居人。法律上の関係性で言ったら何もないんです」(まちさん) 「生後一年間は予防接種の数も多いですが、まだ私だけで娘を病院に連れて行ったこともありません。男性だったら『パパが来たのね』と特に何も聞かれないかもしれません。関係性を説明しなければいけないと思うと、億劫になってしまって...」(まちさん) まちさんが娘の正式な保護者となる方法は、今のところ、まちさんが娘を養子にすること。 「そうするとテレサから親権がなくなります。ただ、テレサとの親子関係が存続する“普通養子縁組”を使えば法律上の相続関係も消えないので、将来的に少し考えています。とはいえ、完全な代替手段ではないし、本来結婚できればそんなことは必要ないので、あえて複雑にしなくてもいいのかなとも思います」(まちさん)