頂き女子のターゲットになりやすい人の特徴とは? 社会から助けてもらえず過酷な状況に陥る弱者男性の実態
弱者男性1500万人時代 #3
数多くの「おぢ(=おじさん)」から詐欺行為でお金を搾取した頂き女子りりちゃん。彼女がターゲットにしていたのは、お金持ちではなく、独り身でモテたことがない男性だった。 【図】ネット右翼の雇用形態・世帯収入 『弱者男性1500万人時代』より一部抜粋・再構成し、社会から孤立していく弱者男性のおかれている実態をレポートする。
男性には「玉の輿」のチャンスがない
女性の場合、「同等婚、または上昇婚」をする傾向にある。つまり、自分の年収以下の男性とは基本的に結婚したがらないのだ。これは、たとえ無収入だったとしても相手への年収を問わない男性が圧倒的に多いのとは対照的である。 近年、政府が推し進める働き方改革などの影響もあって、女性の年収は徐々に上がり始めている。一方、低収入の男性はこうした女性から見向きもされず、未婚のまま取り残されていくことが想定される。 女性の場合は逆に、無職でも年収1000万円以上の男性と結婚するケースもあり、いまだ「玉の輿ルート」が残されている。性別によって異なる、このチャンスの差は大きい。 これは決して女性を責めるためのデータではない。2023年の『SPA!』の調査では弱者男性のうち、自分が弱者であることを女性のせいにする人はわずか2.2%であった。 そのため、男性は女性のこういった傾向を知りながら、「だから自分たちは苦しいのだ」とは言っていないのである。 ただ、現実として貧困に陥った男性は結婚することが難しくなる。それゆえに一度介護や新卒就活の失敗などでハンディを背負うと、そこから這い上がるチャンスが女性よりも限られてしまうのだ。
頂き女子のカモにされる?
そして弱者男性の場合、一発逆転して収入を得たとしても、その次にコミュニケーションの壁にぶつかるケースが少なくない。恋愛結婚が主流である現代の日本では、ただ単純にお金があれば結婚できるというわけではない。 恋愛対象となる相手とそれなりに会話を成立させねば交際にまでこぎ着けることができないのである。また、マッチングアプリや結婚相談所では、常に「誰かと比較されながら」交際を目指すことになる。 そこにもし、コミュニケーションが得意なライバルがいれば、いいなと思った女性がいてもあっという間に奪われてしまう。 そこで誠実かつ、コミュニケーションスキルの低い男性を待っているのが、「頂き女子」を筆頭とする詐欺である。2023年、頂き女子の筆頭格として有名な「りりちゃん」が逮捕された。 頂き女子とは、男性と疑似恋愛をしつつ「親の借金を代わりに返済していてお金がない」「学費が足りなくて退学になるかも」などと噓をつき、お金を無心する女性を指す言葉である。 りりちゃんはいかにお金を「おぢ」と呼ぶ中年男性から騙し取るかをマニュアルに書き起こし、販売していた詐欺幇助の疑いで逮捕されたのである。 りりちゃんは最もお金を落としやすいカモとして、「独り身・モテたことがない・お金がない」男性を条件に挙げた。これはまさに、弱者男性の典型例である。なぜお金をタカるのに金持ちを狙わないのかというと、金持ちは基本的に倹約家が多く、金払いが悪いからだという。 つまり、女性のかわいそうな話を信じ、少ないながらも懐を痛めて学費や生活費を援助しようとする、優しい弱者男性こそ被害に遭っていたわけである。 もともとお金を受け取って飲み会に同伴する「ギャラ飲み」や、デートや肉体関係を通じて金銭を受け取る「パパ活女子」はいたが、ニセの経歴でお金を貢がせるより悪質なケースとして、頂き女子は逮捕されたのである。 かつて、複数の男性に多額の保険金をかけて殺害し、今は死刑囚となっている木嶋佳苗も、狙っていたのは「お金こそ持っているが、コミュニケーションや外見などに苦手意識のある弱者男性」だった。弱者男性は加害または透明化されるのみならず、悪人に狙われてしまうケースもあるのだ。
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