相続税の税務調査は税理士に頼むべき!「強い」税理士の見つけ方も解説
相続税の申告からしばらくたった頃、税務署から税務調査の連絡が突然来た―。そのような時は自分たちだけで抱え込まず、対応を税理士に依頼するというのも手です。依頼するメリット、税理調査に強い税理士の見つけ方について解説します。
1.税務調査とは
税務調査と聞いたら、税務署から強面の税務職員が来て自宅を洗いざらい調べ上げ、多額の追徴課税を支払わなければならないドラマで出てくるマルサ(査察)のイメージをする人が多くいると思います。そのため、税務調査は恐ろしいイメージが先行してしまいます。もちろん相続人にとって税務調査が来ることは良い気分ではありませんが、税務調査に対して正しい知識を持って臨めば恐ろしいものではありません。 税務調査とは申告内容に誤りがないか税務署が確認する調査手続きのことをいいます。そのため、きちんと相続税申告をしても税務調査に入ることはあります。 なお、税務調査には「任意調査」と「強制調査」があります。 脱税の疑いがなければ一般的には任意調査になります。任意調査は事前に税務署から調査をする旨の連絡が入るため、急に調査に来ることはありません。調査内容は、おもに税務職員からの質問や必要に応じて貴重品などの保管場所や通帳の内容を確認します。 強制調査はマルサで知られる国税局査察部が担当します。強制調査の特徴は脱税が疑われる納税者に対して裁判所の令状を持って調査がされます。強制調査は拒否することができなく、納税に関する資料を押収する権限を持っています。脱税の隠ぺい工作が悪質だったり、脱税額が1億円を超えていると想定されたりする場合に強制調査が入りますので、よほどのことがない限り税務調査は任意調査になります。
2.相続税の税務調査の流れ
税務調査の多くは相続税の申告書を提出した1~2年後の8~11月頃に行われます。調査は一般的に以下のような流れで行われますので事前に流れを知っておくと税務職員からの質問にもある程度安心して回答することができます。 (1)税務署から税務調査の連絡(調査前) 相続税申告を税理士に依頼していた場合は担当税理士、相続人自ら申告をしていた場合は相続人に税務署から連絡が来ます。そして、調査の日時と場所を決めます。調査場所は、基本的には亡くなった方の自宅で行われます。このタイミングでは具体的な調査内容についての話はありません。 (2)調査当日の午前 調査当日は午前10時に税務職員がきます。午前中は主にヒアリングになります。亡くなった方の家族関係、出生からの居住地、趣味、仕事、生活費などが聞かれます。また相続人に関する情報なども聞かれます。このヒアリングを通じて、税務職員は申告内容に齟齬がないか、申告漏れになるようなヒントがないかを確認します。嘘をつくとあとで疑われたり、重加算税の対象になったりする可能性がありますので嘘をつく必要はありませんが、余計なことは発言をしないで質問されたことのみきちんと回答しましょう。また、あくまでも亡くなった方の財産に対する調査になります。亡くなった方本人にしか知らない事実もあるので、知らない場合は知らないと回答しましょう。12時位になると必ずお昼休憩をします。税務職員は自分たちで食事をとるため、相続人が準備をする必要はありません。 (3)調査当日の午後 午後の調査は5時くらいまで行われます。通帳などの現物確認や、金庫の有無や印鑑などの貴重品の保管場所を確認します。通帳の確認はとくに慎重に行われる傾向にあります。通帳のメモや預金の動きから申告漏れの財産、贈与税の申告漏れ、名義預金が発見されることが多くありますので、相続人も調査の前、できれば相続税の申告をするタイミングで通帳の中身は確認をしておいた方がよいでしょう。その後に税務職員が事前に調査したことの質疑応答を行います。現地調査は1日で終わるケースが多いですが、2日間に及ぶケースもあります。 (4)調査結果 実地調査のあとは、税務職員は申告内容に誤りがないかを最終確認します。調査の確認が終わると、調査結果の連絡があります。明らかな誤りがあった場合は、修正申告書を作成して提出することになります。提出後、税務署から延滞税や過少申告加算税の連絡がありますので、延滞税等を支払って税務調査は終了になります。 一方、調査結果に納得がいかない場合、税務署は更正処分を行いますが、相続人は一定期間内に税務署に異議申立を行い、納得がいかない旨を主張します。そこで折り合いがつかない場合は、国税不服審判所へ審査請求、訴訟へと発展して解決をしていくことになります。