面白さで他を「圧倒」 ランボルギーニ・ウラカン・ステラート ベスト・ドライバーズカー賞 AUTOCARアワード2024
面白さが他を圧倒したウラカン・ステラート
定期的にAUTOCARをご覧いただいている方なら、年末恒例のベスト・ドライバーズカー選手権で、ランボルギーニが優勝を逃してきたことをご存知だろう。とはいえ、過去のウラカン STOは、歓喜して夢中になるほど楽しく特別感に溢れていた。 【写真】ベスト・ドライバーズカー賞:ウラカン・ステラート ベスト・ハイブリッド賞:5シリーズ STOとM5も (120枚) ラップタイムは最速でなくても、すこぶる速かった。楽しさのあまり笑い続けていると、舌を噛んでしまうかも。優勝できなかった理由は、ドライビング体験へ重層的な奥深さのようなものが足りなかったに過ぎない。ちょっと表現が難しいが。 2023年のベスト・ドライバーズカー選手権で、オフロードタイヤを履くウラカン・ステラートが好成績を残すとは予想していなかった。蓋を開けてみれば、その面白さは他を圧倒した。シリアスさに欠けるモデルが優勝し、驚いた読者もいらっしゃったようだ。 例年通り、見たまま、感じたまま採点し、ウラカン・ステラートは最高得点を集めた。まったく忖度のない、クリアな結果だ。 ウルスの開発に携わった技術者が発案した、実験的ともいえるオフロード・スーパーカーは、なせポルシェ911 GT3 RSやアリエル・アトム4、プロドライブP25といった強者を破ったのか。それは、悪路を前提に仕立てられたシャシーにあった。
脚の柔らかい新ジャンルのスーパーカー
短く硬いスプリングが組まれた通常のサスペンションでは、岩が露出したダートコースを走った瞬間、高価なアンダーボディは割れてしまうはず。オイルパンには穴が空き、悲惨な結果に陥ってしまう。 そこで技術者は、スプリングを伸ばし最低地上高を稼ぎ、バネレートを落とした。その結果、ミドシップそのままのバランスと、9割の操縦性を宿した、新しいジャンルのスーパーカーが誕生した。 ウラカン・ステラートは、郊外の公道をしなやかにこなし、豪快に方向転換できる。柔軟で流暢なアルピーヌA110が宿す魅力を、一層高めたともいえる。横方向のグリップ力は限定的。それでも、クラスを超越した運転する自信をドライバーへ与える。 ボディの動きは大きい。ブレーキを踏めばノーズが沈み、パワーをかければテールが沈む。コーナーでは、リアタイヤが外へ流れようとする。そのかわりコミュニケーションしやすく、驚くほど容易にボディを振り回せる。 乗り心地は、感動するほど滑らか。オフロードタイヤを履き、大きく伸縮するサスペンションでも、ステアリングは直感的。一石二鳥といえる仕上がりにある。動的な欠点はないといっていいだろう。