村上春樹「回転寿司、わりに気楽で好きなんです」店でふと考えることは?
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。9月24日(日)の放送は「村上RADIO~村上の世間話3~」をオンエア。 村上さんが作家生活で日々感じている話から、旅先でのエピソード、回転寿司にまつわる話から小学生時代の思い出話などを披露。村上DJがセレクトしたお気に入りの音楽も、村上さんの解説とともにお届けしました。 この記事では、「世間話3」と3、4曲目、「収録中のつぶやき」を紹介します。
◆Patty McGovern「Wednesday's Child」
しばらく前にマット・モンローの歌う「ウェンズデーズ・チャイルド(さらばベルリンの灯)」を聴いてもらいましたが、この他にも同じ「ウェンズデーズ・チャイルド」というタイトルを持った別の曲があります。パティ・マクガヴァンという女性ジャズ歌手が1956年に吹き込んでいます。 「自分が水曜日生まれだということを忘れて、木曜日生まれの相手と一緒に幸福になれるかなと思ったけど、やはり水曜日生まれの子どもは一人で悲しみの中に置き去りにされてしまった……」 そういう内容の哀しい唄です。ほとんど知られていませんが、なかなか素敵な曲です。聴いてみてください。
<世間話3>
僕はお昼ご飯時とか、ときどき一人でふらっと回転寿司に入ります。わりに気楽で好きなんです。それで、いつも思うんだけど、あれ、ベルトコンベアでお鮨の皿を回転させるんじゃなくて、鮨職人そのものを回転させたらどうなんでしょうね。「回る鮨シェフ」です。ベルトコンベアに乗って鮨シェフが回ってきて、そのとき「中トロとイカ」とか頼むと、「へい、中トロとイカ」って受けてくれて、次にぐるっと回ってきたときに「おまちどう! 中トロとイカ」って、お皿を出してくれるんです。そのほうが、お皿だけぐるぐる回っているより人間味があって好ましいですよね。今問題になっているような変ないたずらもされなくて済むし。 でも鮨シェフがそのうちに目を回しちゃうかなぁ。ふらふらして「中トロとイカ」を頼んだのに、「かんぴょう巻きとウニ」が出てきたりしてね。それはちょっと困るかもしれませんね。(にゃー)