国内の自殺者数が11年ぶり増加の可能性。コロナ第3波でさらに増える懸念も
コロナ禍の影響により、今年2020年は様々な経済指標が悪化しています。業種により差異はあるものの、未曾有の業績悪化に陥る企業は少なくなく、アベノミクス始動以降に過去最高レベルまで改善した雇用指標(有効求人倍率など)も一気に悪化してしまいました。
今年の自殺者は11年ぶりの増加に転じる可能性
そして、あまり大々的に報道されていませんが、11年ぶりに悪化する可能性が高まっているのが自殺者数です。自殺者数は経済指標とは異なりますが、失業率など雇用関連と連動するものとして目安の1つにされています。さらに、今年は自殺者数の内容にも、過去にない大きな変化が見られ始めています。 まずは、日本における自殺者数の推移を振り返ってみましょう。 なお、自殺者数の統計に関しては、警察庁発表と厚生労働省発表の2つがあります。外国人を含むか否か、死亡診断書の扱い等で数字に差異が生じているようですが、極端な差異ではないと考えられます。当記事は、外国人を含まない厚労省のデータに基づきます。
自殺者数は10年連続で減少、それでも年間2万人超
日本の自殺者数は、1997年まで概ね年間20,000~25,000人で推移していました。ところが、“平成の金融危機”と称される金融機関の経営破綻が相次いだ1998年に一気に32,863人へ跳ね上がった後、2011年まで30,000~35,000人で推移しました。ちなみに、過去最多は2003年の34,427人です。 その後、国や地方自治体が自殺防止に注力したことや、アベノミクス始動後の景気回復等により、2010年から昨年2019年まで10年連続で減少しています。2019年実績は20,169人でしたが、これは1978年以降では過去最少レベルです。 なお、自殺者に占める男女比ですが、その年で若干バラツキはありますが、ザックリ言うと、男性7割、女性3割となっています。
自殺の理由は「健康問題」がトップ、10代を中心とした若年層の増加が顕著
自殺の理由ですが、厚労省の調査結果によれば、2019年実績ベースでは「健康問題」が約49%で断トツの1位、「経済・生活問題」が約17%、「家庭問題」が約15%、「勤務問題」が約10%、「男女問題」が約4%、「学校問題」が約2%となっています。 「経済・生活問題」が低下傾向にある一方、「学校問題」と「家庭問題」の比率は上昇傾向にあるのが特徴です。 なお、自殺者数が減少を続けたこの10年間における大きな特徴として、相対的に若年層が増加したこと、とりわけ、10代(10~19歳)が絶対数でも増加し続けていることが挙げられます。決して年齢で判断するつもりはありませんが、未来ある若年層が自ら命を絶つというのは非常に残念なことです。