次世代の国民的キャラクター「ずんだもん」人気の秘密を生みの親・小田恭央さんに聞いてみた
人気の要因は「音声合成キャラ×感情」
『ずんだもん』の真骨頂と言えば解説系動画だ。先駆者でもある「東方Project」の“霊夢と魔理沙”と比較されることも多いが、先人の展開を参考に流行のプロセスを探っていたという。それが時代にハマった。 「私たちは、キャラクターの特徴ご出る音声を最初から用意していました。東方Project さんが築き上げた流れの中で、たまたま『ずんだもん』が誕生したのが音声合成技術の転換点で品質が上がったタイミングだったんです。そこで仕掛けられたことが、これだけ認知された要因の一つかもしれません」 2021年に登場した、無料のテキスト読み上げ用音声合成ソフトウェア「VOICEVOX」により、まるで人が喋っているような滑らかな音声が実現。『ずんだもん』の担当声優・伊藤ゆいなさんの発案で「VOICEVOX」の音声ライブラリーの一つになったことで、一般ユーザーが感情移入しやすい動画を自由に作成できるようになった。 そしてもう一つ、『ずんだもん』の人気を支えているのが、申請不要・無料での東北の商業利用を許可している点にあるだろう。 東北6県にある自治体や公共団体は申請不要、無料での商用利用が可能で、個人のクリエイターも商用目的でない限り、申請不要・無料で使うことができる。 この“ゆるいルール”も人気の要因かと思うが、率直に気になったことがある。 このルール、企業としてのメリットは、あるのか? 「私たちが儲かるというよりも、みんなに遊んでもらいながら東北や地方が元気になって欲しいと思っているのが正直なところです。もし儲かったとしても、豪邸を欲するよりは『ずんだもん』の新たな素材や展開に投資したいと思ってます」 「東方Projectさんも私たちも利益重視型じゃない点が流行りのポイントかなと思ってて。しかも私たちは無料でイラストをばらまいたり、3Dも一部無料にしたりしてますし。普通の企業で「無料の音声合成ソフト出したい!」なんて言ったら、上司に「どうやって投資を回収するのか?」とこっぴどく怒られると思いますが、ウチの会社は怒る人がいなくて良かったと思いながら自由にやってます笑」