「津波と同じ」専門家が警告 岩手山噴火警戒レベル2 時速50km以上で迫る恐れの「融雪型火山泥流」に注意
雪の時期特有の融雪型火山泥流に注意
岩手県などが作成した「岩手山火山防災マップ」は、これまでの噴火に関する調査を元に作られている。西側は約3200年前の水蒸気爆発、東側は1686年のマグマ噴火と同規模の噴火を想定し、噴石や火山灰の到達範囲が記されている。 特に注目すべきは、雪のある時期特有の現象である「融雪型火山泥流」だ。マップでは、この現象の影響が想定される地域が青で示されている。融雪型火山泥流は、山に積もった雪が溶けて火山灰や噴石と混じり、大量の泥流となって川などを流れ下る現象だ。その流れる速さは時速50km以上とされ、発生から数十分で山麓の居住地に到達する可能性があるという。 越谷教授は「『あっ』と見て走って逃げるという代物ではなく、津波と一緒で高台に逃げるというのが基本」と話す。さらにその危険性を「岩手山の山頂には2~3メートルの雪が積もると思うが、そういったものが非常に短い時間で溶ける。全部解けると単純計算で200mmの雨量に相当する」と強調する。 マップによると、火山泥流は岩手山の東側の火口から7方向に分岐し、滝沢市や八幡平市を中心に、盛岡市にまで到達する可能性があるという。発生した場合、被害は大規模になるおそれがある。
防災意識高め“万が一”に備えを
こうした危険性を踏まえ、地域では防災への取り組みが始まっている。岩手山山頂から約20km東に位置する盛岡市立渋民中学校では、火山泥流が到達するおそれがあるとされることから、11月に初めて噴火に備えた避難訓練を実施した。 訓練では生徒たちが火山灰対策としてゴーグルやマスクを着用し、避難場所となる小学校まで移動する手順を確認した。 越谷教授は、「岩手山はどんな火山で、何をどのような範囲で起こすのかということを知らないといけない。それをこのハザードマップを見てもらって理解を深めてもらう。逃げる場所だけではなく、逃げる道筋、避難経路もきちんと理解してもらう」と火山防災への意識を高めることの重要性を強調する。 現状では普段通りの生活で問題ない一方で、状況を正しく理解し、万が一の事態に備えることも大切だ。 (岩手めんこいテレビ)
岩手めんこいテレビ