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コロナ解雇された当事者に聞く「不穏な気配を感じた?」

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週刊SPA!

 新型コロナウイルスで経済状況の逼迫は拡大の様相を見せている。企業の倒産は右肩上がりで、厳しい舵取りが予想される。そんな中、実際にコロナ解雇に遭ってしまった人々が感じた「予兆」とはどんなものだったのか。その真相に迫った。

調理師として高給で採用も新規オープン日が延び延びに

 帝国データバンクの集計によると、’20年上半期に倒産した宿泊業の件数は80件で、前年同期比2.2倍と急増している。 「私が勤めていた会社は、富裕層向けの会員制高級リゾートホテルを今年4月にオープンする予定でした。私はそのオープニングスタッフの調理師として2月に正社員採用で転職し、メニューを考えたり、食材の仕入れ先を探したりと、準備作業に従事していました。一日9時間の拘束で月給は前職の倍以上の48万円になって喜んでいたんですが……」  そう話す河合清さん(仮名・40歳)が不穏な気配を感じたのは、オープンを1か月後に控えた3月のことだった。 「コロナのせいで職人が集まらず、水道や下水も開通しないし、建物の工事も進まない。そもそも山奥の立地なのに、道路の整地も終わらない状態で、これはヤバいんじゃないかと感じました」  このときは7月にオープンを延期するとアナウンスされたが、6月に入ると9月に延期された。10人いた同僚たちが一斉にざわめきだすなか、6月中旬に会社の会計担当者から、「6月末で“解散”します」と告げられたという。 「解雇ではなく、解散という形にしてほしい、しかも『外部には絶対に漏らすな』と。雇用契約で退職金を支払いたくなかったのでしょう。しかも、建設に行政の助成金や補助金が絡んでいるのに密かに倒産を決め、その事実が工事の職人から漏れ、総支配人が村役場に詰められていました」  解雇に際して社長の話はなく、総支配人からのメールのみ。「元からダメ会社だったのか……」と河合さんは嘆息した。

新経営陣が整理解雇を敢行。体質改善と全社員がクビに

 現在37歳の沖田啓介さん(仮名)は、今年6月に「コロナ解雇」されるまで、都内の印刷会社でSEとして働いていた。30万円弱の月給で約6年半勤めてきた会社から突然解雇を告げられた沖田さんだが、コロナ流行以前から会社の変化を感じ取っていたため、驚きは少なかったという。 「昨年に新社長が就任し、それを機に経営陣もガラッと変わりました。彼らが会社の体質改善のために目をつけたのが、高給のくせに全然仕事をしない、社内ニートのような50代の社員たちです。先代の社長は温情もあり、彼らの整理解雇に踏み込めなかったのですが、新経営陣は本気で彼らの粛清を考えていたようです」  そんな折、襲ってきたコロナ不況で会社の業績は急激に悪化。会社を存続させるためという名目のもとで経営陣が採った方法は、全社員を解雇する荒業だった。 「会社は役員だけになり、若手と中堅を中心とした全体の4割ほどのメンバーが業務委託やアルバイトのような形で再雇用されています。当然、今までサボってきた50代社員たちは再雇用されず、会社はかなり身軽になりましたね」  いわばコロナへの対応を大義名分として、長年の膿を出し切った格好だ。沖田さんは荒療治の割を食ったわけだが、90万円ほどの退職金を受け取り、フリーのSEとして継続的な受注を得ているため、不満はないという。ただ、経営陣が代わるなどした場合は「改革」の犠牲になる可能性がある。

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