忽那賢志/新型コロナ 重症化を防ぐ「治療法」がわかってきた〈この病院では6月以降、死者ゼロ〉――文藝春秋特選記事【全文公開】
「文藝春秋」2020年11月号(10月10日発売)の特選記事を公開します(日付、肩書、感染者数等は掲載時のまま)。 ◆◆◆ 日本で新型コロナウイルス感染症の患者さんが確認されてから8カ月が経過し、国内の感染者は累計で8万人を超えました。亡くなられた方は1500人を超えています。 現在は、7月にピークを迎えた感染拡大の第二波が終息しつつある状況です。第一波に比べて、第二波は重症者数と死者数がともに減少し、感染被害をほぼ抑え込んだと評価していいと私は見ています。 しかし、秋から冬にかけてどうなるかはわかりません。新型コロナは、気温が高いところより低いところ、湿度が高いところより低いところのほうが、感染が広がりやすいというデータがありますから要注意です。「Go To」キャンペーンが本格的に始まったものの、「外食や旅行に出かけてもいいのだろうか」と判断に迷われる方も多いと思いますが、完全に治る薬がない状況は、半年前と同じですから油断はできません。 私が勤務する国立国際医療研究センター(東京・新宿)は、駒込病院、墨東病院、荏原病院、豊島病院、自衛隊中央病院、聖路加国際病院と並んで、都内で新型コロナの患者さんを受け入れている、大きな病院の一つです。私はその中で国際感染症センターの国際感染症対策室に勤務し、ジカ熱などの感染症を経験してきました。当センターは新型コロナの重症者を比較的多く受け入れ、この8カ月で200人ほどの患者さんを診てきました。
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忽那 賢志/文藝春秋 2020年11月号