長崎市・大浦天主堂の開かない棚、錠を切断すると「聖体顕示台」発見…カトリックの祭具で50年以上保管
カトリックのミサなどで用いられる祭具「オステンソリウム(聖体顕示台)」が、長崎市の大浦天主堂で見つかった。鍵付きの棚に少なくとも50年以上保管されていたとみられ、信者が錠を切断して回収した。国宝となった大浦天主堂では現在、日常的なミサは行われておらず、関係者は「天主堂の歴史を知る上で重要な資料だ」と話す。(野平貴) 【写真】鐘の復活が計画されている浦上天主堂
キリストの「聖体」を納め顕示するための祭具で、高さ約70センチ、最大幅約20センチ。中央が透明なガラスで、その周囲には豪華な装飾が施されている。
オステンソリウムは、神父がミサの準備を行う「香部屋」内の棚に入っていた。棚には南京錠がかけられ、鍵もなく長年開けることができなかった。
シスターの辻原祐子さん(55)は、以前から「錠がかけられているということは、大事な物が保管されているのではないか」と気になっていた。今年3月、辻原さんら信者が工具を使って錠を切断。棚の中には木箱が入っており、その中にオステンソリウムが収まっていた。
木箱には、カトリック用品を扱うパリの会社の名前が書かれていたことから、「パリ外国宣教会」などが使用していたものとみられるという。大浦天主堂の島由季学芸員は、「かつて長崎のカトリックの中心だった大浦天主堂で行われていた行事について、知る手がかりになる」と指摘する。
今回見つかった資料は、同天主堂に隣接するキリシタン博物館で開催中の企画展「大浦天主堂が伝えるもの」で展示されている。このほか、ド・ロ神父が作成した版画や、パリ外国宣教会のプティジャン司教が日本向けの信徒に送った書簡なども並んでいる。
来年1月14日まで。入場料は天主堂の拝観料に含まれている。問い合わせはキリシタン博物館(095・801・0707)へ。