不動産売却で利益が出たら確定申告が必要! 必要書類や課税の仕組みを解説
不動産を購入した価格よりも高い金額で売却して、譲渡所得(利益)が出た場合は税金がかかってきます。分離課税として給与所得などほかの所得とは分けて計算し、年度末には確定申告をする必要があります。専門家に相談する場合でも、課税の仕組みを理解しておくと話がスムーズになります。 不動産売却時の税金を安くする方法は?
不動産売却の確定申告とは
不動産売却では、譲渡所得(利益)がなければ課税されないため確定申告は不要ですが、利益が出れば確定申告をしなければなりません。不動産売却後の税金や確定申告については、不動産仲介会社が詳しく説明してくれるとは限りませんし、正確な知識を持っていない営業担当者も多くいます。 このため、売主さんが、確定申告を前にどうしたらよいのか分からず困るケースや、適用できる特例の存在を知らずに損をしてしまうケースが少なくありません。実際の確定申告では、税務署の相談窓口か税理士に相談することをおすすめしますが、その場合も基本的な課税の仕組みを理解しておくほうが、専門家の説明がよく分かり、申告手続きを円滑に進められます。 不動産売却で譲渡所得があれば、その翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告をしなければなりません(令和2年分の申告は令和3年4月15日まで延長されています)。確定申告は、(1)必要書類の準備(下表参照)、(2)譲渡所得税の計算、(3)確定申告書類の提出の流れで行います。 確定申告に必要な書類 (2)譲渡所得税の計算については次で解説します。(3)確定申告書類の提出先は、不動産が所在する管轄の税務署です。提出方法は、持参、郵送、電子申告(e-Tax)があります。
譲渡所得税を計算する
不動産を売却したら税金がかかるといっても、5千万円で売却したから、その5千万円に課税されるということではありません。税金がかかるのは、譲渡価額(売却価格)から、物件の取得費や譲渡で発生した費用と特別控除を控除した「課税譲渡所得」に対してです。課税譲渡所得は、以下の計算式で求められます。 課税譲渡所得 = 譲渡価額-(取得費 + 譲渡費用)・取得費 売った土地や建物を買い入れたときの購入代金、建物の建築代金(建物の購入代金・建築代金からは減価償却費相当額を差し引く)、土地の造成費用や測量費などの合計金額です。 取得費等が大きければ大きいほど課税譲渡所得は小さくなりますから、税金を抑えるうえで有利になります。取得費を求めるには2つの方法がありますので、金額が大きくなるほうを選ぶようにしましょう。 取得費を求める方法の一つは「実額法」で、不動産取得時の契約書や領収書などを根拠に、実際に支払った実額取得費を求めます。 もう一つは「概算法」で、「譲渡収入金額×5%」を概算取得費とします。不動産取得時の書類がなくて実額取得費が不明な場合、または実額取得費より概算取得費のほうが大きい場合は、概算法を使用してください。今より貨幣価値が低かった時代に取得した不動産では、購入価格100万円などということもあります。そうしたケースでは概算取得費を用いるほうが有利です。 ・譲渡費用 仲介手数料、印紙税、貸家の売却に際して支払った立ち退き料、建物を取り壊して土地を売った際の取り壊し費用と、その建物の損失額などです。 不動産売却の特別控除 譲渡価額から控除できる費用には、不動産の取得費や譲渡費用、特別控除などがあります。自分の住んでいる家屋と土地を売った場合は、最高3千万円を控除できます。ほかにも併用可能な特例等があれば活用しましょう。