長澤まさみ七変化!三谷幸喜監督の最新作『スオミの話をしよう』は、アップデートしまくりだった!
【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
そもそも、筆者は三谷作品のファンです。ファンであるからこそ納得のいかない作品もいくつかありますが、そりゃ、こんだけの数を作っていらっしゃるのだから、好みが分かれるのは当たり前なのですが、今回は「古畑で観たミステリー」「王様のレストランで観た王道コメディ」。そして、なによりも筆者イチオシの「ラヂオの時間」を彷彿させる群像劇。 【写真】長澤まさみ、美背中も映える肩出しワンピ 全部のいいとこ取りみたいな印象でとても期待していたのに、ぶっちゃけ、前評判がよくなさそうだったので観るのが不安でした。 か~ら~の~、70年代の映画を愛する三谷監督が、それを令和にアップデートしたと言える大活劇! 多分、ライトな三谷ファンたちが「古畑とか王様みたいなの観たかったのに」という文句を言っているのだと思います。ディープ層にはこれこそが三谷作品なんですよ!『笑の大学』観てから文句言え!!! 『やっぱり猫が好き』も観ろ!『マジックアワー』も観ろ!『12人の優しい日本人』も!この映画の楽しみ方がわかるから! 細かく出てくる現代語も、しかりなんですが、ここまで羅列した作品たちから、本作は1歩、いや2千歩ぐらい進化していて、その肝を担っていたのが長澤まさみさん。 相手の男によって、まるで人格が変わったような態度をとる謎の女性を演じています。 まさに七変化なんですが、正直「コンフィデンスマンでも、ようやっとったな~」ぐらいの“お上手な演じ分け”という印象だったのですが、クライマックス…! “本当の七変化”が、やってきます。 三谷監督は、このシーンがやりたくて、この物語を書いたんじゃないかと思うほど「長澤無双」で「痛快」でした。 あとはもう「名優たちのダンスがめっちゃ面白いから、それに2千円払うつもりで劇場に行け」としか、言いようがない感じかな? ラストまで、目を“離しちゃいけない”傑作だったので、是非、皆様御覧ください!
黒田勇樹(くろだ・ゆうき) 1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。 主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。 2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。 現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。