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「お願い、帰ってきて……」 ベランダから脱走したはずの飼い猫が1か月間、身を潜めていた意外な場所

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アーバン ライフ メトロ

ベランダから木に飛び移って……

 猫が脱走してしまった――。  胃がキュッとなるような連絡が来たのは、梅雨の終わりのことでした。 【画像】「20匹以上の子猫が道端に……」 レスキュー活動で保護した子猫たちを見る(9枚)  猫の不妊去勢手術を進めていたり、交通事故にあった子を保護したり、子猫の里親募集をしたり。いわゆる地域猫活動を続けている方から「里親さんに譲渡したばかりの猫が逃げてしまったらしいの」と、電話がきました。  団体として猫の保護譲渡活動をしている私(山本葉子。東京キャットガーディアン代表)たち。かたや個人の活動家さんたちは何もかも全部ひとりで行うので本当に大変です。  それでも、新しいお家に猫たちが迎えてもらったり、餌やりのトラブルが起きている現場の問題解決ができたりすると、やっててよかったとコーヒーなどでささやかな祝杯をあげるのです。そんな彼女が譲渡したばかりの猫は、1歳半の元気な元・地域猫でした。  とにかく猫が逃げてしまったお宅に連絡して、一緒に伺います。里親さんは「すみません!」と言ったきり青ざめて固まっています。順を追って状況を聞いていくことにしました。 「猫の脱走に気がついたのはいつですか?」 「洗濯物を干そうとしてベランダのあるそこのドアを開けました。その前にあの子が隣の部屋にいることは確認していたんですが、脱水した洗濯物を取りに行ってベランダに出てようとしたら、あの子のいた部屋のドアが細く開いていて……閉まっていたはずなのに」  時間にして、1~2分の間かと思われました。

近所にたくさん捕獲器を仕掛けて

 現場はマンションの5階、しゃれたベランダの向こうには、逃走にうってつけのイチョウの大木が見えます。大人の猫なら飛び移れる距離です。  お家の子になってまだ数日、そしてあまり人なれしていない猫だったとのことです。でも短期間でも一緒に暮らした子がどこかで迷子になっているという状況は、途方もなく辛いことです。  心配のあまりパニックを起こしている里親さんに、用意してきた紅茶とクッキーをどうにか食べてもらって「絶対近くにいますから頑張りましょう」と捜索手順について話します。炭水化物や甘いものは、こういうときの精神安定剤になります。  どこに逃げたのかはわかりませんが、いろんな状況を想定してまずは持ってきた捕獲器を近隣に設置することから始めました。  このマンションで暮らし始めて、まだ数か月しかたっていない里親さん。長い間猫との暮らしに憧れて「2頭までならOK」のペット共生住宅を選んでお引っ越ししてきました。近隣のお知り合いはまだいないとのことです。  マンションの敷地内・お隣の家の庭先・裏手のガレージ。室内から屋外に出た猫は、だいたい手近な遮蔽(しゃへい)物の下に潜り込みます。潜んでいそうな場所に捕獲器を設置するのに、ご近所にお願いに行きました。 マンションの管理人さん。 「敷地内に猫がいる可能性があるので、餌と捕獲器を置かせてください」 「うーん、管理会社に聞いてくれますか? 僕はそういうのわからないので」 お庭のあるお隣の家。 「すみません、猫が逃げてしまって」 「大変! ウチも飼ってるの。見かけたらすぐ知らせますね。写真ある?」 裏手のガレージの大家さん。 「捕獲器を置かせていただけないでしょうか?」 「ねこぉ? 苦手なんだよね」 「お手間はかけないようにしますので、ぜひ」  こんな感じで次々と。

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