【『No No Girls』レポート#8】ちゃんみな「自由を取るんだったら、死ぬほどがんばってズバ抜けなければ認めてもらえない」一つひとつの言葉が胸を打つ運命の審査発表
「自由なことをするために、型にはまらなきゃいけないことがある」
次はCHIKA、MAHINA、ASHAのDチーム。まずはCHIKAだ。歌もダンスもハイレベルにもかかわらず、これまで何度もオーディションに落ちてきた経験から自信をなかなか持てない彼女。スタッフにも「ここでまた落ちたら、立ち直れなくなるかなってぐらいかけてきた」と話していた。 ちゃんみなは、CHIKAのその気持ちに気づいていた。そんな彼女にまず「いい加減にしろ」と一喝。自信がなさそうな振る舞いはここまでにするようにと忠告する。一方、CHIKAはいきなりの喝に一瞬ギョッとするも、すぐに真剣な表情に切り替えちゃんみなの話を全身で受け止めようとする。 「過去のCHIKAを称えてほしいんです。やってきたこと、乗り越えたこと。こんなに歌がうまくて、ダンスもできるのに、自分の過去に中指立てちゃダメ。それだけは本当に忘れないでほしい。(…)自分の声を信じてほしいです。昨日聴かせてもらった<ママに掛けて毎晩cry「命かけて歌っとうったい」>。あそこ本当に響きました。ありがとうございます。よろしくお願いします、次も」 次はMAHINA。彼女はちゃんみなにラップの才能を見出され、彼女のために特別に設けられた3.5次審査を通過してから、4次審査への参加となった。ちゃんみなは、まだラップスキルは素人っぽいものの歌はうまくなっていると評価したあとで、さらに「惜しいところがたくさんあったんだけど、やばいところもたくさんあったの。なんでこんなに幼い子からこんな言葉が出るんだろう、こんな雰囲気が出るんだろうって気になってしょうがない」と大絶賛。MAHINAは4次審査通過となった。 SKY-HIもMAHINAのことが気になるようだ。3.5次審査とほかの候補生よりも半歩遅れてのスタートだったにもかかわらず、プレッシャーよりも楽しそうに見えたという。「楽しかったですか? 楽しかったとしたら何がそんな楽しかったですか?」と質問する。 「ラップは早いからこそ人に感情を伝えるのがすごく難しいと思うんですけど、伝えられた瞬間がすごく幸せで、これをたくさん経験したい」と、あどけない表情で語るMAHINA。また、3次審査を通してネガティブになるとそれが表情に出てしまうと実感し、そうして自分を振り返ったことでパフォーマンスの楽しさを感じるようになったようだ。そんな彼女にSKY-HIは、「いざってときに開き直って振り切るところは武器だと思うので大事にしてあげてください」と返した。 続いてはASHA。ちゃんみなにとって彼女は候補生の中で最も向き合ってきたメンバーだ。個別で連絡してアドバイスすることもあった。たとえ、それがASHAやほかの候補生に嫌がられることだったとしても放っておけなかった。なぜなら、彼女は昔の自分とすごく似ていたから。個人的に感情が入っていたというちゃんみなの言葉に、ASHAは思わず涙をこぼす。しかし、ここから苦しい話が続いた。 「すごくよくなってた。けど……たぶんASHAは自由を求めてると思うの。私の表現、何が悪いの?って。私がやりたいことをやるし、私は自由に自分を表現するって思っていると思うんだけど、そうかな?」 低音ラップを得意としてきたASHA。しかし、合宿中にちゃんみなから歌い方を変えてみることを提案されていた。 「今この歌い方をやめたら、自分の個性や魅力がわからなくなって空っぽになるってわかっていたので、そこから目を離して、パフォーマンスを続けてきていたんですけど……今はありのままでよかったんだなって思えています。そこで、さらに自由に自分らしいパフォーマンスをしていきたいなって思っています」 そう答えるASHAだが、ちゃんみなから見た彼女は怯えているように見えていた。「自分の個性を変えようとしているのではないか」と。ちゃんみなは歌い方の提案した理由を話す。 「自由なことをするためには、型にはまらなきゃいけないことがあるの。ゴールするためにやらなきゃいけない課題や、やりたくないこともやらなきゃいけないのよ。それでやっと自由が手に入るの。それを私はASHAに教えたかったの」 ちゃんみなにもASHAと似たような時期があったという。さらに、その殻を破るのにはすごく時間がかかったが、これを一回破ってしまえば本当に素晴らしいラッパー/アーティストになれるとも。 「私たちみたいな人間は、最終的に自由を取るんだったら、自分の表現を取るんだったら、死ぬほどがんばってズバ抜けなければ認めてもらえないの」。ちゃんみなはそう言うと、最後にこう伝える。 「これは私の愛情だと思って受け止めてほしいんだけど、これって誰に言われても私は気づけなかったんだよね。今、ASHAが気づいているかどうかもわからないけど、自分で気づかないと意味がないなって思ったんです」 ASHAは4次審査を通過することができなかった。彼女は沈うつな表情で静かにただただ泣いていた。