Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

ロックダウンで都市の大気汚染が軒並み改善 200キロ離れたヒマラヤの姿も

配信

The Guardian

【記者:Hannah Ellis-Petersen in Delhi, Rebecca Ratcliffe in Bangkok, Sam Cowie in Sao Paulo, Joe Parkin Daniels in Bogota and Lily Kuo in Beijing】  インド・デリー首都圏でメッセージアプリ「ワッツアップ」を利用するグループの間で、4月に入り、いくつものスクリーンショットが拡散され始めた。それぞれのキャプションには、信じられないという思いがさまざまな言葉で語られていた。デリーの住民は自虐的な朝の習慣として、大気の汚染度を示す大気質指数(AQI)を毎朝チェックしているが、この週はほとんどの人が自分の目を疑った。  これまで見慣れていた、おどろおどろしい赤いバナーがなくなっていたのだ。赤いバナーは、息を吸うごとに実は、肺に有害な一撃を加えているのだということを示していた。そのバナーが、健康的で明るい緑色に置き換わっていた。デリーの大気汚染レベルが「良好」と分類されるほど改善することなど、本当にあり得るのか? 「明らかに山の空気だね!」と感嘆の言葉を書いた人もいた。  新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために、インド全土では3月25日から、世界的にも最大規模のロックダウン(都市封鎖)が実施されている。これにより、国内で3億人とされる貧困層を中心に、大混乱と苦悩が広がっている。しかし、世界で最も大気が汚染されているデリーでは、ここ数十年で最も澄んだ空気が観測されてもいる。  新型コロナウイルスという災いの中で、ロックダウンから生まれたこの明るい出来事は、世界中のあらゆる大都市で起きている。タイのバンコク、中国の北京、ブラジルのサンパウロ、コロンビアのボゴタなどでは、新型ウイルスの流行を抑制するためにさまざまな行動制限が課された結果、大気汚染がかつてないレベルに改善したと報告されている。しかし、これには残酷な皮肉が伴っている。これらの都市の住民のほとんどは厳しい規制下で自宅に閉じこもっており、せっかく生まれた新鮮な空気を味わう方法は、窓を開け放つか、スーパーマーケットへ足早に買い出しに行くくらいしかない。  世界保健機関(WHO)は大気質指数が25を超過すると危険とみなしているが、デリーでは通常、ましな日でも200程度と強烈な数字だ。昨年の汚染ピーク時には人命にかかわるとされる900台にまで上昇し、測定可能値を超えてしまうこともあった。しかし、デリーで登録されている1100万台の車両が道路からいなくなり、工場や建設作業が急停止を余儀なくされると、指数は定期的に20を下回るようになった。空には突然、めったに見ることのない、まぶしいほどの青さが広がった。鳥のさえずりでさえ、いつもより大きく聞こえる気がする。  政治家であり、作家であり、環境問題を声高に訴えてきたシャシ・タルール氏は、これが人々の目を覚ますきっかけになってほしいと話す。「青空という幸せな光景と新鮮な空気を吸える喜びは、私たちが今まで自分たちに対してしてきたことと正反対だ。今、デリーのAQIは30前後になっている。ある日の午後にはスコールが降った後、7まで下がった」  タルール氏は信じられないといった様子で再び、「7だ!」と声を上げた。「デリーで!ただただうれしい!」  環境保護団体「科学環境センター」のスニタ・ナレイン所長は、これまで自動車がいかにデリーの大気汚染の要因になっていたかを、ロックダウンとそれによる汚染の急速な改善がはっきりと示したと述べた。「新型コロナウイルス流行後の新常識が何であろうと、デリーの大気汚染解決に向けて、私たちは今吸っている新鮮な空気をきっかけとして、真剣に取り組んでいかなければならない」

【関連記事】