日銀は利上げ急がず、今月見送りでも物価加速リスク小さい-関係者
(ブルームバーグ): 日本銀行は、消費者物価の上昇に加速感が見られず、海外経済の不確実性が強まっている中で、追加利上げを急ぐ状況にはないと認識している。もっとも、今後公表されるデータや為替相場の動向次第では、来週の金融政策決定会合での実施の可能性もあるという。複数の関係者への取材で分かった。
関係者によると、賃上げコストを価格転嫁する動きに広がりが見られているが、引き続き物価上昇が加速する状況ではないと日銀はみている。トランプ次期米大統領の就任を来年1月に控え、具体的政策と世界経済への影響を含めた不確実性は大きく、1月以降に利上げを先送りした場合も大きなコストは伴わないとの認識という。
日銀内では経済・物価が想定通りに推移しているとの認識がコンセンサスになっており、利上げは時間の問題になりつつあると考えていると関係者は指摘する。18、19日に開く決定会合では、データと金融市場の動向を慎重に見極めた上で、政策決定を行う。12月会合で利上げが提案された場合、一部の政策委員は反対しない見通しだという。
日銀は経済・物価見通しが実現していけば、利上げで金融緩和度合いを調整する方針を示している。時間の経過とともに見通し実現の確度が着実に高まる中で、12月会合では現在0.25%程度に誘導している政策金利の引き上げの是非が議論になる見通しだ。急速に円安が進行したり、経済・物価の上振れを示すようなデータが示されるなど、状況次第では利上げの可能性も否定されないとみられる。
関係者によると、7月利上げの一因となった円安による物価上昇リスクについて、足元の輸入物価がマイナス圏にあるなど相対的に低下している状況と日銀は判断している。
日銀が今月会合までに注意深く監視するデータには、11日の米国の消費者物価指数(CPI)、13日の四半期ごとの日銀企業短期経済観測調査(短観)、日銀による19日の政策決定の数時間前に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合結果などがある。