J1&J2昇格プレーオフは激戦必至 一発勝負で“本命”によぎる不安…起こり得る「下剋上のドラマ」【コラム】
J3リーグ3位富山にアドバンテージも、勢いに乗る松本の存在も無視できず
J3も2試合続けてホームで戦える富山が本命であることは間違いない。ただし、霜田正浩監督が率いる4位の松本もラスト5試合にすべて勝利しており、J3で今最も勢いに乗っている。準決勝はホームで、熱いサポーターの後押しを受ける富山と松本が有利だが、一発勝負だけに大阪と福島も勝機はあるだろう。もちろんJ2と同じく、引き分けならホーム側が勝ち進むアドバンテージはあるが、立ち上がりはあまりそういったことを気にせずに、ホームのチームらしく勝ちにいくメンタリティーが大事になってくるだろう。 リーグ終盤戦で5戦無敗の富山は大阪との直接対決で1勝1分だったが、ホームでは2-0と完勝している。J3最小失点の大阪を相手に、富山は10番のマテウス・レイリアと碓井聖生がゴールをこじ開けていけるか。ただ、大阪はリーグ戦で前半に8失点しかしておらず、固い守備をベースに粘り強く戦いながら、接戦に持ち込んでいく特長のあるチームだ。小田切道治監督が率いる富山としても、後半の途中まで焦れずにゲームを運んで、その時点で同点なら上記のアドバンテージを生かしたクロージングを考えても良いだろう。 松本は霜田正浩監督が、ボールを保持して主導権を握るスタイルから、5バックをベースに堅守速攻の色合いを強めることで、同時に勝負強さも出てきた。16得点のウイング塩浜遼、サイドの突破力が魅力の森晃太、MFながら8得点の大関友翔、司令塔の針谷岳晃など、攻撃的なタレントが多い福島が相手でも、そのベースを変える必要はない。キーマンは磐田で針谷と同僚だったボランチの山本康裕だ。“相棒”の安永玲央とともに守備を安定させながら、シンプルな展開で得点力もある左翼の樋口大輝などを前向きにしていけるか。 [著者プロフィール] 河治良幸(かわじ・よしゆき)/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。
河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji