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コロナ時代 「デジタル・非接触×強み」で業種転換も

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日経BizGate

 政府が25日、新型コロナウイルスの感染者拡大による緊急事態宣言を全国で解除したことを受け、日本経済は段階的に正常化へと向かう局面に入った。ただ新型コロナの第2波が予想される中、企業活動が本格的に再開するための対策は少なくない。安倍晋三政権の「基本的対処方針等諮問委員会」のメンバーである小林慶一郎・慶応大客員教授(キヤノングローバル戦略研究所、東京財団政策研究所研究主幹)に「ウィズ・コロナ時代」の展望と企業経営者へのアドバイスを聞いた。

大規模な検査体制拡充が経済再生に直結

 ――小林教授は新型コロナ流行の初期段階から、感染拡大阻止と経済活動の両立を唱えてきました。  「今後早急に必要なのは、新型コロナの検査能力を大幅に高めることです。ドイツなど海外のケースも参考にして1日10万~15万人の検査態勢を築くことです。検査を担当する看護師の研修も含め1~2兆円の規模で可能でしょう」  「並行して現場の医療現場が疲弊し、ダウンしてしまわないような対策が欠かせません。PCR検査も唾液の採取方法ならば検査件数を増やしても医療機関の負担は抑制できるでしょう。さらに経営的に支える施策も必要です。政府が医師を雇用し報酬を払うような形での支援策も検討すべきでしょう」  ――小林教授はマクロ経済の専門家で通産省(現・経産省)OBですが、常に専門外の医療態勢の拡充と医療現場の支援を唱えています。  「いつ自分が感染するか分からない状況では、個人心理は萎縮し、経済活動の正常化は望めません。医療目的だけでなく経済再生のためにも、社会の不安を取り除くべきなのです。米ハーバード大では、まず医療従事者や食品スーパーの店員、社会インフラに従事する人々などから段階的に検査対象を拡大していくことなどを提唱しています」

中小企業支援の「次」は資本毀損への対策

 ――政府の諮問委には小林教授に加え、竹森俊平・慶大教授(国際経済学)、大竹文雄・阪大大学院教授(行動経済学)、井深陽子・慶大教授(医療経済学)も委員に任命されました。  「感染症専門家の委員との会議で、新たに得られる知見は多いです。『命も経済も』という考えで、経済関連の委員の方向は一致していると思います。竹森氏は従来からの経済財政諮問会議の民間議員でもあり、大竹氏は経済政策の実効性について提言されるでしょう」  ――医療・雇用・企業を守るためには、当面は大規模な財政出動のほかありません。赤字国債の発行で賄うことになりそうです。 「国債暴落などの市場混乱は起きないとみます。金融機関も『ウィズコロナ時代』の不透明感の強まりでリスク回避傾向が続き、国債への選好度が高まる可能性があります」  ――日銀は、政府系金融機関を通しての中小企業向け「無利息・無担保」の融資総額を大幅に拡充しました。  「ただ企業は短期的な資金繰りだけでなく、資本の毀損に直面しかねません。『ウィズコロナ時代』では、大企業から中小・ベンチャー企業まで世界的な業界再編に直面する可能性があります。国境をまたぐ移動が長期間活発化しない場合は、航空業界など交通系は再編が避けられないでしょう」  ――これからのウィズコロナ時代に、日本産業の構造改革は避けられないという指摘も多くなっています。  「公的な支援態勢と経営トップの将来へのビジョン力が双方呼吸を合わせて推進することが必要です。『デジタル化』と『非接触』がキーワードになります。これまでの業種にこだわらず、自社の強みやリソースを冷静に分析して、従来の業界にこだわらない大胆な業種転換ができるような準備が必要です」

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