ヤクルト・山田が“主将1号” 巨人D1・平内を粉砕、「甘い球」豪快に引っ張った
(練習試合、ヤクルト5-10巨人、23日、浦添)今季から主将を務めるヤクルト・山田哲人内野手(28)が23日、巨人との練習試合(浦添)に「3番・二塁」で先発出場し、2点を追う二回2死二塁から左越えへ、対外試合初本塁打となる同点2ランを放った。実戦2試合目にして出た“主将1号”。チームは5-10で対外試合初黒星を喫したが、燕の背番号1が独自のキャプテンシーを発揮し、チームを2年連続最下位からの浮上に導く。 【写真】ベンチに戻るとキリっとした表情の山田 浦添の陽光が、左腕のキャプテンマークを輝かせた。二回2死二塁で左越えに2ラン。山田は歓喜するナインに迎えられ、小さくうなずいた。 「甘い球だった。試合勘とかはないので、たまたまなところはありますけど…。実戦2試合目で結果も出て、いい方かなと思います」 滞空時間の長い飛球は、左翼後方のネット付近で弾む特大弾となった。巨人D1位・平内(亜大)が投げた121キロの浮いたスライダーを逃さず捉えた“主将1号”。即戦力右腕にプロの洗礼を浴びせても「シーズンに入ってからが勝負なので気を引き締めて」と隙は見せなかった。 強い決意を胸に、新シーズンへ臨んでいる。このオフは国内FA権を行使せず残留。新たに7年契約を結んだ。その後、高津監督に主将就任を志願。上半身のコンディション不良もあり94試合で打率・254、12本塁打、52打点、8盗塁に終わった昨季からの巻き返しへ、控えめだった男が自身を奮い立たせるため決断した。 今キャンプ初日には、野手陣の前で所信表明。2年連続最下位からの逆襲を誓うチームメートに「協力」と「競争」こそが勝つためには必要だと訴えた。そんな姿に、高津監督は「前より声が出るようになりました。ボソボソと、すごく的確なことを言っている」と冗談を交えつつ変化を証言。この日の活躍にも「健康に過ごして、段階を踏んで、開幕を迎えてくれたらそれでいい」と目を細めた。 確かに今キャンプではグラウンドで若手選手に声を掛け、積極的に対話する場面が多く見られる。山田自身も「『この選手はどんな考え方をしているのかな』とか、そういった部分も気になるようになった。どう考えて野球をやっているのかを聞いたりしている」と話す。気合十分にナインを鼓舞したり、厳しい姿勢を打ち出したりする旧来の主将像とは異なるかもしれないが、山田流のキャプテンシーを発揮して、チームの先頭に立っている。 主将として、何より求めるのは結果だ。チームとしての目標は「優勝」であり、個人で目指すのは世界初となる4度目の「トリプルスリー(同一シーズン打率3割、30本塁打、30盗塁)」。そのための技術向上にも貪欲で、21日の楽天戦で途中交代した後は、室内練習場で青木に直訴し、下半身の使い方について助言をもらった。 「1から10まで教えてもらいましたけど、その中に自分の思っていることも取り入れてやっていこうかなと。方向性は見つかってきているので、結果が続いて出ればいい」。プロ11年目。山田が左腕の称号とともに新たな一歩を踏み出した。(赤尾裕希)