「晴天と原爆ドームと私」兵庫・斎藤知事を応援のPR会社社長、「戦争の悲劇」を“キラキラ化”インスタ写真に賛否両論
いまだ、11月17日投開票だった兵庫県知事選挙での斎藤元彦知事の当選に対する“疑念”が晴れていない。 【画像】“キラキラ”化で物議を醸す折田氏の「原爆ドーム」投稿 騒動の発端となったのは、斎藤知事が「ボランティアの一員」と強調しているPR会社「merchu(メルチュ)」の折田楓社長のインターネット上での発信だった。 「11月20日に折田氏が自らブログサイト『note』に、県知事選で斎藤知事のSNS運用やPRを一手に引き受けたことを書き記したのです。それが、インターネット上で拡散されると、選挙活動を仕事として引き受け、報酬を得ていた場合に公職選挙法に違反する疑いがあることがすぐさま指摘される事態になりました」(政治担当記者) その後、11月25日に斎藤知事は、ポスター制作などの業務を委託した報酬として「約70万円」の支払いを認めたが、それ以外についての折田氏の行動は無償だったと主張。 「しかしその後、選挙期間中に折田氏が斎藤知事やその陣営のSNSに携わっていたと考えておかしくない動画や写真が見つかりました。これは斎藤知事の主張に反しており、世論は強い疑いの目を向けています」(同前) 一方で、折田氏は発端となった「note」の記事を一部修正したものの、その後はなんの声明も出していない。 「折田氏は20代でPR会社を起業し、斎藤知事から強い信頼を得ていたといいます。折田氏の会社は地方自治体の広報事業などを受託しており、ホームページ制作や動画制作をおこなっていました。そうした請け負った仕事を折田氏はSNSで報告しており、その中でいま物議を醸しているのは、広島市から受託されていた『広島tabi物語』というホームページ制作にまつわるInstagramの投稿です」(同前) 2021年8月3日に折田氏がInstagramに投稿したのは、広島への原爆投下の悲惨さを伝える「原爆ドーム」前での写真だ。 《広島出張から帰ってきました 天候に恵まれ、晴天と原爆ドームと私》 といったメッセージが添えられた投稿には複数枚が掲載されているが、なかでも注目されているのは、赤いワンピースに麦わら帽子という出で立ちの折田氏が楽しげなポーズを取っているほかのスタッフとともに“自撮り”をしている写真。 ほかにも折田氏の会社が手掛けたホームページには、周りにかわいくデコレーションがなされた原爆ドームの写真が掲載されていることもインターネット上で議論になっている。 これに対して“不謹慎”との指摘があがり、Xは賛否両論の様相となっている。 《ゆるふわ原爆ドームって、絶句。地獄の苦しみをこんなゆるふわで脚色されたら、犠牲者はたまらんな。「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」の誓いはなんだったのか。ものすごい冒涜だし、全然安らかに眠れる訳ないし、何度だって過ち繰り返しそう》 と、折田氏がふだんのInstagram投稿で見せているような“キラキラ”としたPR手法にあきれる声が出ている一方で、 《広島は被爆のイメージが強すぎる。このくらいゆるふわでいい》 《原爆ドームを人を叩く道具にしないでほしい。広島市民だけど笑顔で写真撮ろうがべつに気にしない。そこに映ってるのは平和の大切さを訴える建物だよ》 このように折田氏を擁護する意見も多く見られる。 「実際のInstagramの投稿を見ると、自撮り以外の写真はそこまで“キラキラ”としたものではなく、一般的に原爆ドームを被爆地としてとらえたものが多かったので、この一枚だけが楽しげな写真になっています。 ただ、そんな写真を撮ったのも折田氏が仕事を精一杯やり遂げたと感じていたからかもしれません。じつは『広島tabi物語』のトップページには、この日と同じ赤いワンピースを着た折田氏と思しき女性が原爆ドームを見つめる後ろ姿の写真が掲載されています。 つまり、折田氏は制作会社の社長として全体を統括するだけでなく、自身もモデルになるという“二刀流”の働きぶりだったはず。少ない労働力のなかで、なんとかいいものを作ろうという思いで進めたプロジェクトだったのかもしれません」(前出・政治担当記者) 公選法違反の疑いが生じている影響で、折田氏は過去の仕事も厳しく見られる苦境に立たされているーー。