ライトオンがワールド傘下で再建、ジーンズの限界。自力再建は断念、今後も大量閉店が続く見通し
2000年代までは、学生など若い世代を中心にジーンズ専門店の人気は高いものだった。ライトオンは新規ブランドを積極的に開拓し、品ぞろえを広げていった。また、競合他社に先駆けて郊外のショッピングセンターに出店し、核テナントとして広い面積の店舗を展開してきた。 世のトレンドをつかむビジネス展開で、2007年8月期には売上高1066億円、営業利益58億円と最高益を記録。しかし、これをピークに業績は長期で低迷していくことになる。
■強かった成功パターンから停滞へ 「成功パターンが強すぎたのかもしれない。自信を持ちすぎてしまった」。こう語っていたのは前社長の川﨑純平氏だ。既存ブランドの取扱高が増える中、新規開拓が減り、商品の改廃がうまく進まなくなっていた。 また、店舗数を増やすことを優先した結果、集客力の弱い商業施設に出店する例もあった。店舗の売り上げ規模は縮小し、効率も下がっていく。 2009年には、ジーユーが発売した990円ジーンズを皮切りに、西友が850円、ドン・キホーテが690円のジーンズを投入するなど激安競争が勃発。ライトオンは激しい市場の変化にうまく対応できず業績が停滞。窮地に追いやられていった。
2017年8月期に上場以来初の営業赤字に転落すると、2018年には当時38歳だった川﨑純平氏を社長に抜擢し、経営の若返りを図った。だが、同氏は2年で退任。2020年に創業者の長男である藤原祐介氏が社長に就任し、NBの品ぞろえを強化するなど対策を打ったものの、規模縮小が続いた。 ワールドによる支援が決まり、ライトオンは新たに中期経営計画を公表した。2029年8月期の売上高は254億円と、2024年8月期と比べて35%減と規模が縮小する一方、営業益は15億円の黒字を目指す。店舗数は明らかにしていないが、大量閉店は必至だ。
また、これまではNBのジーンズを中心とした商品群に注力していたが、今後はプライベートブランド(PB 独自企画商品)に力を入れる。ワールドと連携して競争力のあるPBの開発を進め、構成比を拡大。仕入れ原価率の改善を進める。現状のNB65%、PB35%という商品構成を逆転させる方針だ。 ただし、ジーンズは耐久性が高く、購入頻度が低い商材でもある。売り場の効率を考えると扱いづらい商品ともいえる。ワールドはジーンズ以外の品ぞろえも模索するのか。