驚愕! 絶壁を手袋や靴も付けず命綱なしで登る「中国のスパイダーウーマン」
少数民族に古くから伝わる超絶技巧で世界の人びとを魅了
「中国のスパイダーウーマン」として知られる中国の少数民族ミャオ族の女性が、手袋や安全装備なしで100メートルを超える崖を登る驚異的な身体能力で人びとを魅了している。香港のサウスチャイナモーニングポストが報じた。 【動画】命綱も靴もなしで絶壁を登る「中国のスパイダーウーマン」 <素手でロッククライミングをする世界で唯一人の女性登山家> 中国南西部の貴州省ミャオ族・扶余自治県出身の羅登峰(ルオ・デンピン)は、ミャオ族に古くから伝わる素手でのロッククライミングを実践する世界で唯一の女性登山家として知られている。 43歳の彼女は30階建てのビルに相当する高さ108メートルの崖を巧みに登り、ほぼ垂直の岩肌を難なく移動することから、「スパイダーウーマン」と呼ばれている。 彼女の卓越した技術は、古代ミャオ族の習慣「崖埋葬」に根ざしている。伝統的に人里離れた山岳地帯に住むミャオ族は、高い場所に埋葬することで故人が「祖先の故郷を見ることができる」と信じ、彼らは舟形の棺を死後故郷に帰ろうとする魂の希望の象徴とみなしていた。 また、死者を崖に埋葬することには、貴重な農地を守り、動物から遺体を守るという実用的な理由もあった。 <ツバメの糞を集めるため登り始める> ミャオ族は代々受け継がれてきた素手でのクライミング技術を磨き続けてきた。しかし、ルオは現在この地域の「スパイダー」の中で唯一人の女性である。彼女は12歳のとき、父親の指導でロッククライミングを始めた。 最初は、男の子と競争して薬草を集めたり、崖にあるツバメの巣から鳥の糞を集めて肥料にすることで生計を立てたいという願望が動機だったという。 「男だけの仕事だと言われたけど、私は男女平等だと信じているから、勉強したの。それが私のスパイダーウーマンとしての始まりです」とルオは2017年のBBCのインタビューで語った。 また彼女は中国メディアによるインタビューに「この地域が開発される前は、ツバメの糞を集めるために毎日登っていました。100メートルも登るので、何度も登っているうちに、手がタコだらけになってしまいました」と答えている。 このクライミング技術を習得するには、体力だけでなく熟練した技術も必要で、薬草を集めるという難しい作業に4~5時間かかることもあったという。 だが今では、薬草やツバメの糞を集める必要はなくなり、彼女のクライミング技術は観光客のためのイベントのために活用されている。 「多くの観光客が、私たちがどうやって薬草を集めているのか見たがるので、お金をもらってクライミングしています。収入は高くありませんが、スパイダーウーマンであることに誇りを持っています」
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部