児童手当が「高校卒業まで」支給されても、16歳から18歳の「扶養控除」が撤廃になると「損」? 拡充内容を解説
児童手当の拡充が政府より発表されましたが、拡充によって所得制限がなくなるのであれば、大きなメリットとなるでしょう。しかし、児童手当が拡充されても扶養控除が撤廃されるのであれば、最終的な負担は大きくなるとの見方もあります。 本記事では、児童手当の拡充内容に加えて、扶養控除が廃止された場合の影響について解説するので、参考にしてみましょう。
児童手当の拡充によって支給される金額について
児童手当の拡充が実現すれば、トータルで支給される金額が大きく変わり、従来なら中学生までしか支給されなかった児童手当が高校卒業まで延長されます。具体的な児童手当の拡充について、図表1でまとめてみました。 図表1
内閣府 児童手当制度のご案内を基に作成 所得制限が撤廃されるのであれば、子育て世代は基本的に全員が児童手当が受給できるようになり、第3子以降は3万円がもらえるので生活費にも大きな助けになるでしょう。 現在は2024年度中に実施検討がされている段階なので、内容が変わる可能性もあります。注意点として、高校生までと定められていますが、実際には専門学生やフリーターなどでも年齢制限を満たしていれば受給可能です。 また、他にも子どもが3人居て、1人目が年齢制限を超えた場合、対象となっている子どもが2人になって、第3子以降3万円は受給できなくなります。第3子以降の児童手当が厚い理由として、積極的に子どもを産めるような環境を整える狙いがあるため、金額はさらに引き上げられるかもしれません。
扶養控除がなくなると税金が高くなる可能性が高い
しかし、児童手当の拡充だけでなく、16歳から18歳の扶養控除がなくなる可能性もあります。その場合、課税所得から扶養控除がなくなるため、税金が高くなる可能性が高いです。 現在では、16歳から18歳まで年間38万円の扶養控除が認められており、高校生でもらえる児童手当が年間12万円である点を考えると、扶養控除のほうがメリットが大きいとも考えられます。課税所得が38万円増えると所得税に加えて、健康保険料・介護保険料・住民税などが増額されるでしょう。 収入が多くなればなるほど税率も高くなるので、児童手当をもらうよりも扶養控除で計算された方が金銭面での負担が少なくなる人も出ると予想されます。児童手当の確保は歳出改革によって生み出されるとされていますが、どうしても歳出改革によって確保できない場合は社会保険料が増額されるかもしれません。 各種税金が高くなって社会保険料も増えてしまうと、負担が大きくなり、さらに子どもを産んで育てるのが難しいと考える人が増える場合も考えられます。 課税所得は、さまざまな場面で税金や社会保険料を決定づけるのに使われ、実質的な増税につながる家庭も多いです。所得制限が撤廃されるような高収入世帯では特に影響が大きく、扶養控除のほうが支払う税金が少なくなる場合もあるでしょう。