「戦後史の闇に光を当てたい」 “三鷹事件”の第三次再審請求が申し立てられる
「異常」に時間がかかる再審制度の問題
再審については刑事訴訟法で定められているが、その規定は、わずか19条の条文にしか記されていない。また、再審請求審における具体的な審理のあり方は、裁判所の裁量に委ねられており、証拠開示の基準や手続きも明確ではない。 日弁連は現行の再審制度は制度的・構造的な問題を抱えているとして、再審法の改正に向けた取り組みを行っている。 2011年に申し立てられた第二次再審請求は、高裁で棄却されるまでに8年の時間を要した。野嶋弁護士は「これほど時間がかかるのは異常だ。手続きや規定が明確であったら、もっと短時間で結論が出たはず」と語った。 「竹内さんの長男は、80代の高齢者。できるだけ早く結果を出す必要性を、痛切に感じている」(野嶋弁護士) 弁護団の中村忠史弁護士も「竹内さんは、誰一人信用できないまま、獄中で亡くなった。なんとしても、彼の悔しさを晴らしたい」と訴えた。 三鷹事件は、同じく1949年の夏に発生した国鉄関係の事件である「下山事件」「松川事件」と並んで「国鉄三大ミステリー事件」と呼ばれている。これらの事件の背景に、連合国軍総司令部(GHQ)の存在や、反共政策(「逆コース」)に基づく共産党や国鉄労組への弾圧があったとの指摘も根強い。 野嶋弁護士は「司法によって闇に葬られた事件に決着をつけることで、日本の戦後史の闇の部分に光を当てていきたい」と意気込みを語った。
弁護士JP編集部