オンライン診療「日本の診療報酬の低さ」浮き彫りに。17カ国を比較調査、慶應大から研究論文
オンライン診療での診療報酬が、対面に比べて低く抑えられているのは、日本と中国の一部だけ ── 。 【全画像をみる】オンライン診療「日本の診療報酬の低さ」浮き彫りに。17カ国を比較調査、慶應大から研究論文 17カ国の状況を調査したところ、驚きの結果が明らかになった。 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界中で活用されているオンライン診療。だが、日本では広く普及しているとは言えない状況だ。 厚生労働省がまとめた資料によると、電話や情報通信機器を用いた診療を実施できるとして登録した医療機関数は2020年10月末で全体の15%だけ。また、「受診歴のない患者に初診から電話・オンライン診療を実施した」医療機関数は、4~9月に404件でわずか0.36%だった。 日本でオンライン診療が普及しない背景には、日本の制度面の課題があるともいえそうだ。
17カ国で働く医師ら30人に調査
調査を実施したのは、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の木下翔太郎助教と岸本泰士郎専任講師ら。両氏とも慶應義塾大学などで精神科医として診療も行っている。 木下氏と岸本氏が、17カ国で働く医師ら30人に協力を依頼。自国のオンライン診療について報告してもらい論文にまとめた。 調査について岸本氏は、「COVID-19の流行タイミングに遅れずまとめたかった。各国の公的機関に問い合わせる方法だと時間がかかってしまうので、現場の医師に協力してもらい実態を調査した。これだけの規模で各国を比較した例は他にはない」と話す。 調査はアメリカ、イギリス、イタリア、インド、エジプト、オーストラリア、カナダ、韓国、スペイン、台湾、中国、デンマーク、ドイツ、トルコ、日本、ブラジル、南アフリカの計17の国と地域で実施。2019年末と、2020年5月時点で、遠隔精神科医療の規制や公的保険の償還状況などについて、アンケート調査を行った。 調査は2020年5月から開始し、結果をまとめた論文は2020年11月27日(英国時間)にイギリスの科学雑誌「Psychological Medicine」のオンライン速報版で公開された。