【試作車を販売】ジェンセンC-V8コンバーチブル 雨漏りに剛性不足 奇抜な姿 後編
試乗テスト前に納車していたコンバーチブル
text:Martin Buckley(マーティン・バックリー) photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) ジェンセンC-V8コンバーチブルには、雨漏り意外の不具合も多かった。きしみ音や振動音が各部から生じ、ラジオは入りが悪く、リア・サスペンションは硬すぎた。助手席側の窓はすぐに故障し、開かなくなった。塗装も場所によってムラが目立った。 【写真】奇抜なデザイン ジェンセンC-V8コンバーチブル (28枚) コンバーチブルはC-V8のMk-IIとMk-IIIが組み合わされた構造で、改良前の1系統のみのブレーキシステムも不満の1つ。トランクリッドには、最新のMk-IIIに与えられていたジェンセンのエンブレムすら貼られていなかった。 オーナーのキャリントンは後に、「全体的には非常に優れていた」と述べていたようではある。それでもフォレットは、ロイヤルカスタマーの不満に心を痛めたに違いない。 1965年の初め、C-V8コンバーチブルを量産するかどうかは決定していなかった。しかしキャリントンへ届けられた後、1965年7月にビーティーが行った初めての試乗テストの結果は、将来を閉ざすのに充分だった。 キャリントンはすでに不具合を羅列していたが、ビーティーも多くを発見する。シャシーは振動し、ねじれ剛性の弱さを示していた。排気音も大きすぎた。コーナーではだらしなくロールし、アンダーステアもひどかったようだ。 最終的にソフトトップが交換され、後期型のブレーキを獲得したC-V8コンバーチブルは、キャリントンが1年半所有。約3万3800kmを走らせた。スコットランドまで遠乗りしてもいる。 1967年、ジェンセン・インターセプターが発売されるまで、C-V8コンバーチブルを大切にしていたという。フォレットはC-V8を下取りし、インターセプターをキャリントンへ納車した。2人目のオーナーは、すでに決まっていた。